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胎児マクロファージが上皮間葉転換の誘導を通じて羊膜破裂の修復を助ける

Fetal macrophages assist in the repair of ruptured amnion through the induction of epithelial-mesenchymal transition

Research Article

SCIENCE SIGNALING
13 Sep 2022 Vol 15, Issue 751
DOI: 10.1126/scisignal.abi5453

Yosuke Kawamura, Haruta Mogami*, Eriko Yasuda, Masahito Takakura, Yu Matsuzaka, Yusuke Ueda, Asako Inohaya, Kaoru Kawasaki, Yoshitsugu Chigusa, Masaki Mandai, Eiji Kondoh

Department of Gynecology and Obstetrics, Kyoto University Graduate School of Medicine, Kyoto 606-8507, Japan.

* Corresponding author. Email: mogami@kuhp.kyoto-u.ac.jp

レスキューのための胎児マクロファージ

胎児を包んでいる羊膜嚢の前期破裂は早産を引き起こすことがある。羊膜嚢は再び塞がることがあるため、カワムラらは、羊膜と呼ばれる羊膜嚢の最も内側の上皮細胞層の修復機構を調べた。その結果、ヒトおよびマウスの羊膜の破裂部にはマクロファージが動員されており、その破裂部には「上皮間葉転換(EMT)」、すなわち間葉系の特性が上皮細胞にもたらされるという組織修復に重要なプロセスの徴候が認められた。妊娠マウスの胎児におけるマクロファージの欠損は、マクロファージの動員、EMT、および羊膜破裂の修復を阻害した。このように胎児マクロファージは、羊膜の破裂部を取り囲む上皮細胞にEMTを誘導することで、羊膜の修復を促している。

要約

早産期前期破水(pPROM)と呼ばれる羊膜嚢の前期破裂は、早産の第一位の原因である。しかし場合によっては、このように破裂した膜が自然に治癒することがある。本稿でわれわれは、羊膜嚢のうち胎児に最も近い上皮細胞層である羊膜の修復機構を検討した。ヒトおよびマウスの羊膜においてマクロファージは破裂部に遊走し、そこに留まっていた。破裂部では「上皮間葉転換(EMT)」と呼ばれる、組織修復に関係している、上皮細胞が間葉系表現型を獲得するプロセスが認められた。マクロファージ欠損胎児の母動物では、羊膜破裂の修復が不良であり、破裂部にはEMTがほとんど認められなかった。創傷治癒アッセイにおいて、培養羊膜上皮細胞の遊走には、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)-Smadシグナル伝達を通したEMTが介在していた。これらの知見は、胎児マクロファージは羊膜上皮細胞のEMTを誘導するというその能力により、羊膜修復に重要であることを示唆している。

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