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TRAF3はT細胞においてホスファターゼPTPN22を調節することによってI型インターフェロン受容体シグナル伝達を増強する

TRAF3 enhances type I interferon receptor signaling in T cells by modulating the phosphatase PTPN22

Research Article

SCIENCE SIGNALING
27 Sep 2022 Vol 15, Issue 753
DOI: 10.1126/scisignal.abn5507

Emma L. Hornick1, Alicia M. Wallis1,2, Gail A. Bishop1,2,3,4,*

  1. 1 Department of Microbiology and Immunology, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.
  2. 2 Graduate Program in Immunology, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.
  3. 3 Department of Internal Medicine, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.
  4. 4 Iowa City VA Medical Center, Iowa City, IA 52246, USA.

* Corresponding author. Email: gail-bishop@uiowa.edu

インターフェロンのためのお膳立てをする

I型インターフェロン(IFN)は、感染細胞によって産生される抗ウイルス性サイトカインであり、その受容体(IFNAR)を介して自然免疫応答を刺激する。Hornickらは、適応免疫系におけるCD4+ T細胞でのI型IFNシグナル伝達調節の特性を明らかにした。野生型細胞と比較して、アダプタータンパク質TRAF3を欠損したCD4+ T細胞では、IFN応答遺伝子の発現低下と受容体近位のシグナル伝達の減少が認められ、その1つとして、転写調節因子STAT1の活性化が低下した。TRAF3の非存在下では、抑制性ホスファターゼPTPN22がIFNAR複合体に動員され、これがSTAT1活性化を阻害した。TRAF3欠損細胞をPTPN22阻害剤で処理すると、I型IFNに対する応答性が回復した。総合すると、これらのデータからは、TRAF3が、受容体シグナル伝達の阻害を妨げることによって、I型IFNによるT細胞活性化を促進することが示されている。

要約

I型インターフェロン(IFN)は、宿主細胞が細胞内病原体に対して動員するもっとも強力な手段の1つである。それらの効果は、IFN応答遺伝子産物の速やかかつ直接的な抗ウイルス作用と、応答する免疫細胞にI型IFNが及ぼす作用の両方によって生じる。受容体IFNARを介するI型IFNシグナル伝達は、シグナル伝達カスケードの複数の段階で厳密に調節されており、例えば、キナーゼJAK1や転写調節因子STAT1を含む、IFNARの下流エフェクターのレベルで調節される。今回われわれは、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)関連因子3(TRAF3)が、負の調節作用を示すホスファターゼPTPN22のIFNAR複合体への動員を阻害することによって、CD4+ T細胞において特異的にJAK1およびSTAT1の活性化を増強することを見出した。IFNARを介するシグナルとその他のサイトカイン受容体を介するシグナルの間のバランスが、感染時のCD4+ T細胞の分化と機能に影響を及ぼす。われわれの研究は、TRAF3とPTPN22が、I型IFNによるCD4+ T細胞活性化の主要な調節因子であることを明らかにしている。

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