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II型TGF-β受容体はI型受容体のTyr182をリン酸化して下流のSrcシグナル伝達を活性化する
The type II TGF-β receptor phosphorylates Tyr182 in the type I receptor to activate downstream Src signaling
SCIENCE SIGNALING
15 Nov 2022 Vol 15, Issue 760
DOI: 10.1126/scisignal.abp9521
Ihor Yakymovych1, *, Mariya Yakymovych1, Anahita Hamidi1, Maréne Landström2, *, Carl-Henrik Heldin1, *
- 1 Department of Medical Biochemistry and Microbiology, Science for Life Laboratory, Uppsala University, Box 582, SE-751 23 Uppsala, Sweden.
- 2 Department of Medical Biosciences, Pathology Section, Umeå University, SE-901 87 Umeå, Sweden.
* Corresponding author. Email: ihor.yakymovych@imbim.uu.se (I.Y.); marene.land-strom@umu.se (M.L.); c-h.heldin@imbim.uu.se (C.-H.H.)
TGF-βがSrcを活性化する仕組み
TGF-βシグナル伝達は発生と恒常性維持に不可欠であり、その調節不全はさまざまな疾患の一因となる。TGF-βリガンドがその受容体であるTβRIおよびTβRIIに結合すると、チロシンキナーゼのSrcを含む、複数の細胞内シグナル伝達メディエーターの活性化が誘導される。Yakymovychらは、TGF-β1が、TβRIIによるTβRIのチロシンリン酸化に依存してSrcをTβRIに動員し、Srcの自己リン酸化を引き起こす機構を介してSrc活性化を刺激することを示した。Srcの活性化は、ヒトおよびマウス細胞のTGF-β刺激に対する応答に必要であった。これらの結果は、TGF-βがSrc活性化を誘導する機構を明らかにしている。
要約
トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達は、胚発生と組織恒常性維持において重要な役割を果たす。TGF-βリガンドは、I型(TβRI)およびII型(TβRII)受容体に結合し、SMAD依存性とSMAD非依存性の両方の細胞内シグナル伝達経路を誘導することによって、細胞内作用を及ぼす。SMAD非依存性の経路には、チロシンキナーゼSrcの活性化が含まれる。われわれは、ヒトおよびマウス細胞においてTGF-β刺激によってSrcが活性化される機構を検討した。TGF-β刺激の前には、不活性型SrcがTβRIIと複合体を形成していた。TGF-β1刺激を受けると、TβRIIがTβRIに結合し、Tyr182をリン酸化した。SrcとTβRIの結合には、Src SH2ドメインとリン酸化されたTyr182の相互作用と、Src SH3ドメインとTβRIのプロリンリッチ領域の相互作用が関与し、Srcキナーゼ活性の活性化とSrc自己リン酸化を引き起こした。TGF-β1誘導性のSrc活性化には、TβRIIとSrcのキナーゼ活性が必要であったが、TβRIのキナーゼ活性は必要なかった。活性化型SrcはTβRIのいくつかのチロシン残基もリン酸化したが、これによってSrcと受容体の結合が安定化すると考えられる。Src活性化は、TGF-βが、ヒト乳がん細胞においてフィブロネクチン産生および遊走を誘導する能力と、マウス線維芽細胞においてα平滑筋アクチンとアクチン再構築を誘導する能力に必要であった。したがってTGF-βは、TβRIIによるTβRIのチロシンリン酸化に依存する、SrcとTβRIの直接相互作用を刺激することによって、Srcの活性化を誘導する。