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ガスダーミンとパネキシン1が造血器悪性腫瘍における化学療法誘導性細胞溶解の経路を仲介する

Gasdermins and pannexin-1 mediate pathways of chemotherapy-induced cell lysis in hematopoietic malignancies

Research Article

SCIENCE SIGNALING
20 Dec 2022 Vol 15, Issue 765
DOI: 10.1126/scisignal.abl6781

Bowen Zhou1, †, Christopher B. Ryder1, 2, †, George R. Dubyak3, Derek W. Abbott1, *

  1. 1 Department of Pathology, Case Western Reserve University School of Medicine, Cleveland, OH 44106, USA.
  2. 2 Department of Pathology, University Hospitals Cleveland Medical Center, Cleveland, OH 44106, USA.
  3. 3 Department of Physiology and Biophysics, Case Western Reserve University School of Medicine, Cleveland, OH 44106, USA.

These authors contributed equally to this work.

* Corresponding author. Email: dwa4@case.edu

PANX1がピロトーシスの引き金を引く

化学療法に反応して、アポトーシス性細胞死の誘導が、ポア形成タンパク質のガスダーミンEを介する、ピロトーシスと呼ばれる溶解性細胞死の一種へと転換され、抗腫瘍免疫応答が引き起こされる可能性がある。Zhouらは、化学療法誘導性ピロトーシスへの代替経路を明らかにした。ガスダーミンEの高存在量が主要な効果を及ぼしたが、ヒト骨髄系細胞におけるピロトーシスへの転換はチャネルのパネキシン1(PANX1)によって独立的に仲介されることもあり、これはガスダーミンDに依存する代替的なピロトーシス経路の誘導を介する場合と、ガスダーミンに依存しない場合のいずれかであった。白血病患者の血液および骨髄生検検体において、ガスダーミンE、ガスダーミンD、PANX1の相対存在量から、ドキソルビシンに反応してピロトーシス性細胞死を仲介する経路が予測された。これらの結果は、この型の化学療法誘導性細胞死に至る複数の経路を明らかにしており、がん患者における治療戦略に情報を提供する可能性がある。-LKF

要約

ピロトーシスは、ポア形成タンパク質のファミリーであるガスダーミンによって仲介される、プログラムされた壊死性細胞死の機構である。カスパーゼ1は炎症条件下でガスダーミンD(GSDMD)を活性化する一方、カスパーゼ3は、化学療法によって誘導されるような、アポトーシス条件下でGSDMEを活性化する。これらの経路は別個のものと考えられている。しかしわれわれは、それらの経路が、ピロトーシス性細胞死を可能にするゲートキーパーを統合するネットワークの一部であることを見出した。GSDMDが、培養血液細胞において、造血器悪性腫瘍に対してよく用いられる2つの化学療法剤であるドキソルビシンおよびエトポシドに反応する、主要なピロトーシスメディエーターであることがわかった。薬剤を投与すると、アポトーシスの開始によって刺激されるチャネルタンパク質のパネキシン1(PANX1)が、膜透過性を増大させ、NLRP3インフラマソームとGSDMDのK+流出駆動性活性化を誘導した。しかし、PANX1またはGSDMEのいずれかが、より多量に存在する場合に、化学療法誘導性ピロトーシスの主要メディエーターとなる場合もあった。患者の急性骨髄性白血病においてもっとも多量に存在するポア形成タンパク質から、化学療法に反応する細胞死経路が予測された。アポトーシスをピロトーシスに転換する多段階スイッチであるこの相互接続ネットワークは、患者の抗腫瘍免疫または腫瘍崩壊症候群に応じて細胞死を変化させるように、臨床的に調節できると考えられる。

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