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HDAC10のオートファジーによる分解がIRF3に媒介される抗ウイルス自然免疫応答を促進する

Degradation of HDAC10 by autophagy promotes IRF3-mediated antiviral innate immune responses

Research Article

SCIENCE SIGNALING
20 Dec 2022 Vol 15, Issue 765
DOI: 10.1126/scisignal.abo4356

Wenkai Zhou1, 2, 3, Jiaming Wang1, Xin Wang1, Bingjing Wang1, Zhehui Zhao4, Jie Fu4, Yan Wang4, Xuan Zhang5, Ping Zhu2, 3, *, Minghong Jiang1, *, Xuetao Cao1, *

  1. 1 Department of Immunology, Center for Immunotherapy, Institute of Basic Medical Sciences, Peking Union Medical College, Chinese Academy of Medical Sciences, Beijing 100005, China.
  2. 2 Guangdong Cardiovascular Institute, Guangdong Provincial People's Hospital, Guangdong Academy of Medical Sciences, Guangzhou, Guangdong 510100, China.
  3. 3 Guangdong Provincial Key Laboratory of Pathogenesis, Targeted Prevention and Treatment of Heart Disease, Guangzhou, Guangdong 510080, China.
  4. 4 State Key Laboratory of Bioactive Substance and Function of Natural Medicines, Institute of Materia Medica, Peking Union Medical College, Chinese Academy of Medical Sciences, Beijing 100050, China.
  5. 5 Department of Rheumatology and Clinical Immunology, Peking Union Medical College Hospital, Chinese Academy of Medical Sciences, Beijing 100730, China.

* Corresponding author. Email: tanganqier@163.com (P.Z.); jiangminghong@163.com (M.J.); caoxt@immunol.org (X.C.).

HDAC10が抗ウイルス免疫を阻害する

I型インターフェロン(IFN)は、抗ウイルス免疫応答のきわめて重要なメディエータであるが、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患にも関与している。Zhouらは、マウスのマクロファージにおいて多様な自然免疫刺激に応答してヒストンデアセチラーゼHDAC10の量が減少することを明らかにした。無刺激条件下では、HDAC10は転写制御因子IRF3と相互作用し、キナーゼTBK1によるIRF3のリン酸化を阻止した。ウイルス感染時には、HDAC10は分解され、その結果IRF3のリン酸化と活性化、およびI型IFN応答の誘導が可能になった。免疫細胞内のHDAC10量は、SLE患者では健康な対照者と比べて減少していた。これらの結果は、HDAC10がウイルス感染症およびI型IFN関連自己免疫疾患を管理するうえで治療標的候補となりえることを示唆している。-JFF

要約

ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、免疫および炎症において重要な役割を担っている。われわれは、機能的スクリーニングによって、インターフェロン制御因子3(IRF3)に媒介されるI型インターフェロン(IFN)応答の阻害因子としてHDAC10を同定した。マウスのマクロファージでは、自然免疫刺激に応答してHDAC10量が減少し、全身性エリテマトーデス(SLE)患者由来の末梢血単核球(PBMC)では、健康なドナー由来のPBMCと比べてHDAC10量が少なかった。マウス胚線維芽細胞およびマウスでHDAC10を欠損させると、I型IFNをコードする遺伝子およびIFN応答遺伝子(ISG)の発現が促進され、in vitroおよびin vivoで抗ウイルス応答の亢進が引き起こされた。HDAC10は、非感染細胞ではデアセチラーゼ非依存的にIRF3に結合し、TANK結合キナーゼ1(TBK1)によるIRF3のSer396のリン酸化を阻害した。ウイルス感染時には、HDAC10は、LC3-IIとの相互作用を介して、オートファジーを介した分解の標的とされた。その結果、IRF3のリン酸化が増加し、それによって、I型IFN産生が促進され、抗ウイルス応答が亢進された。これらの知見は、病原体感染に対する宿主の防御応答を改善するため、また、自己免疫疾患を治療するための標的候補を同定するものである。

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