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ラミニン-1とIV型コラーゲンへの接着が、活性化に対するマウスT細胞の感受性を高めるCa2+マイクロドメインの形成を誘導する
Adhesion to laminin-1 and collagen IV induces the formation of Ca2+ microdomains that sensitize mouse T cells for activation
SCIENCE SIGNALING
20 Jun 2023 Vol 16, Issue 790
[DOI: 10.1126/scisignal.abn9405]
Mariella Weiß1, †, Lola C. Hernandez1, †, Diana C. Gil Montoya1, Anke Löhndorf1, Aileen Krüger1,
Miriam Kopdag1, Liana Uebler1, Marie Landwehr1, Mikolaj Nawrocki2, Samuel Huber2, Lena-Marie Woelk3, René Werner3, Antonio V. Failla4, Alexander Flügel5, Geneviève Dupont6, Andreas H. Guse1, Björn-Philipp Diercks1, *
- 1 Calcium Signalling Group, Department of Biochemistry and Molecular Cell Biology, University Medical Center Hamburg-Eppendorf, 20246 Hamburg, Germany.
- 2 Section of Molecular Immunology und Gastroenterology, I. Department of Medicine, University Medical Center Hamburg-Eppendorf, 20246 Hamburg, Germany.
- 3 Department of Computational Neuroscience, University Medical Center Hamburg-Eppendorf, 20246 Hamburg, Germany.
- 4 Microscopy Imaging Facility (UMIF), University Medical Center Hamburg-Eppendorf, Hamburg, Germany.
- 5 Institute for Neuroimmunology and Multiple Sclerosis Research, University Medical Centre Göttingen, 37075 Göttingen, Germany.
- 6 Unité de Chronobiologie Théorique, Faculté des Sciences, CP231, Université Libre de Bruxelles (ULB), B-1050 Brussels, Belgium.
* Corresponding author. Email: b.diercks@uke.de
† These authors contributed equally to this work.
Editor's summary
T細胞の活性化時には細胞内Ca2+が細胞全体で増加し、転写因子NFAT-1の核内移行の促進により遺伝子発現の変化が誘導される。Weißらは、通常はT細胞が炎症部位に遊走する間に遭遇すると考えられる細胞外基質成分にマウスT細胞が接着したとき、Ca2+マイクロドメインが形成され、それによってT細胞の活性化が促進されたことを見いだした。著者らは、接着依存性のCa2+マイクロドメイン形成に必要なシグナル伝達タンパク質の特性、およびストア作動性Ca2+流入(SOCE)の役割を明らかにした。接着依存性のCa2+マイクロドメイン形成は、T細胞受容体刺激後の細胞全体の細胞内Ca2+の増加およびNFAT-1の核内移行に重要であった。このように、接着に応答したCa2+マイクロドメインの形成は、活性化に対するマウスT細胞の感受性を高めている。—Wei Wong
要約
免疫応答が生じたとき、T細胞は血管内皮を介して細胞外マトリックス(ECM)を遊走することで、血管壁から炎症組織に移動する。インテグリンは、内皮細胞およびECMタンパク質に対するT細胞の結合を促進する。本稿でわれわれは、T細胞受容体(TCR)/CD3刺激の非存在下で認められるCa2+マイクロドメインは、活性化に対する初代培養マウスT細胞の感受性を高める、ECMタンパク質への接着によって引き起こされる初期のシグナル伝達イベントであることを報告する。ECMタンパク質であるIV型コラーゲンおよびラミニン-1への接着は、キナーゼFAK、ホスホリパーゼC(PLC)、およびイノシトール1、4、5-三リン酸受容体(IP3R)の3つの全てのサブタイプに依存する形でCa2+マイクロドメイン数を増加させ、さらに転写因子NFAT-1の核内移行を促進した。数学的モデリングから、接着依存性Ca2+マイクロドメインが形成されるためには、2つから6つのIP3RとORAI1チャネルの協調的な活性化により、ER-細胞膜接合部におけるCa2+濃度の増加が達成される必要があることが予測された。これは実験的にも観察され、SOCEを必要とするものであった。さらに、細胞全体のCa2+応答およびNFAT-1の核内移行により評価したとおり、接着依存性Ca2+マイクロドメインは、IV型コラーゲン上のTCR誘導性T細胞活性化の大きさにも重要であった。このように、IV型コラーゲンおよびラミニン-1に対する接着は、Ca2+マイクロドメインの形成が関与する機構を通じてT細胞の感受性を高め、さらに、この低レベルの感受性亢進の阻害はTCR会合時のT細胞の活性化を低下させる。