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ERK2はキナーゼ活性に依存しない方法でCDK9をMYCプロモーターに固定することによりMYCの転写を刺激する

ERK2 stimulates MYC transcription by anchoring CDK9 to the MYC promoter in a kinase activity—independent manner

Research Article

SCIENCE SIGNALING
18 Jul 2023 Vol 16, Issue 794
[DOI: 10.1126/scisignal.adg4193]

Lorena Agudo-Ibáñez1, †, Marta Morante1, †, Lucía García-Gutiérrez1, †, Andrea Quintanilla1, Javier Rodríguez1, Alberto Muñoz2, 3, Javier León1, *, Piero Crespo1, 3, *

  1. 1 Instituto de Biomedicina y Biotecnologia de Cantabria (IBBTEC), Consejo Superior de Investigaciones Cientificas (CSIC)-Universidad de Cantabria, Santander 39011, Spain.
  2. 2 Instituto de Investigaciones Biomedicas "Alberto Sols," Consejo Superior de Investigaciones Cientificas-Universidad Autonoma de Madrid, Madrid 28029, Spain.
  3. 3 Centro de Investigacion Biomedica en Red de Cancer (CIBERONC), Instituto de Salud Carlos III, Madrid 2809, Spain.

* Corresponding author. Email: crespop@unican.es (P.C.); leonj@unican.es (J.L.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

キナーゼERK2は、転写因子やその他のタンパク質を活性化することによって遺伝子発現を刺激する。Agudo-Ibáñezらは、ERK2がより直接的かつキナーゼ非依存的にも作用して、MYCをコードする遺伝子の発現を誘導することを発見した。ERK2はキナーゼCDK9をMYCプロモーターに係留し、そこでRNAポリメラーゼの活性を刺激した。これらの相互作用を阻害すると、MYCの存在量が減少した。がんやその他の疾患におけるERK2とMYCの役割を考慮すると、これらの発見はERK2の機能についての理解を広げ、ERK2とMYCが関与するさまざまな疾患の病因に関連する可能性のある機構を明らかにする。—Leslie K. Ferrarelli

要約

転写因子MYCは、ERK2のキナーゼ活性によって部分的に媒介される成長因子シグナル伝達に応答して、細胞の増殖、形質転換、および生存を制御する。ERK2は遺伝子発現を調整するのにDNAに結合することもできるため、ERK2がMYCの転写をより直接的に制御するかどうかを調べた。われわれは、MYCプロモーター内のERK2結合部位を同定し、血清刺激したさまざまな細胞種において、そのプロモーター上でERK2を検出した。血清飢餓細胞における核局在ERK2コンストラクトの発現により、キナーゼ活性に関係なく、核内のERK2がMYC mRNAの発現とMYCタンパク質の存在量を増加させることが明らかになった。ERK2は、アミノ末端挿入ドメインを介してプロモーターに結合し、カルボキシル末端の保存されたドッキングドメインを介してサイクリン依存性キナーゼCDK9(RNAポリメラーゼIIを活性化する)に結合した。どちらの相互作用もERK2誘導性のMYCの発現に必須であり、ERKを枯渇させるとCDK9の占有とMYCプロモーターでのRNAポリメラーゼIIの進行が損なわれた。CDK9をERK2挿入ドメインに融合させることによってMYCプロモーターに人工的に繋ぐことは、血清飢餓細胞におけるMYC発現を刺激するのに十分であった。われわれの発見は、MYCプロモーターにおいてCDK9を動員するキナーゼ非依存性アンカーとして機能しMYCの発現を促進するERK2の役割を実証している。

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