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細胞外マトリックスタンパク質ピカチュリンとオーファン受容体GPR179の光受容体シナプス会合体の構造

Structure of the photoreceptor synaptic assembly of the extracellular matrix protein pikachurin with the orphan receptor GPR179

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Jul 2023 Vol 16, Issue 795
[DOI: 10.1126/scisignal.add9539]

Dipak N. Patil1, †, *, Serena Pantalone2, Yan Cao1, Thibaut Laboute1, Scott J. Novick3, Shikha Singh4, Simone Savino2, Silvia Faravelli2, Francesca Magnani2, Patrick R. Griffin3, Appu K. Singh5, 6, Federico Forneris2, 7, *, Kirill A. Martemyanov1, *

  1. 1 Department of Neuroscience, Herbert Wertheim UF Scripps Institute for Biomedical Innovation and Technology, University of Florida, Jupiter, FL 33458, USA.
  2. 2 Armenise-Harvard Laboratory of Structural Biology, Department of Biology and Biotechnology, University of Pavia, Via Ferrata, 9A, I-27100 Pavia, Italy.
  3. 3 Department of Molecular Medicine, Herbert Wertheim UF Scripps Institute for Biomedical Innovation & Technology, University of Florida, Jupiter, FL 33458, USA.
  4. 4 Department of Biological Sciences, Columbia University New York, New York, NY 10027, USA.
  5. 5 Department of Biological Sciences and Bioengineering, Indian Institute of Technology, Kanpur 208016, India.
  6. 6 Mehta Family Centre for Engineering in Medicine, Indian Institute of Technology Kanpur, Kanpur, Uttar Pradesh 208016, India.
  7. 7 Fondazione IRCCS Policlinico San Matteo, Pavia, Italy.

* Corresponding author. Email: dipaknpatil@gmail.com (D.N.P.); federico.forneris@unipv.it (F.F.); kmartemyanov@ufl.edu (K.A.M.)

† Present address: Lilly Biotechnology Center, Eli Lilly and Company, 10290 Campus Point Dr., San Diego, CA 92121, USA.

Editor's summary

網膜では、効率的なシナプス伝達を行うために、光受容体がON型双極細胞とシナプス接合を形成する。細胞外マトリックスタンパク質のピカチュリンが、光受容体のシナプス前複合体と、シナプス後のオーファン受容体GPR179をつなぐ。Patilらは、X線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡を併用して、ピカチュリン単独およびGPR179と結合したときの各領域の構造を決定した。総合するとこれらの結果は、神経伝達を確実に行うために、ピカチュリンがGPR179をシナプスで正確に配置する機構に関する洞察を提供している。—John F. Foley

要約

正確なシナプス形成は、神経系が正常に機能するために不可欠である。網膜光受容体は、双極細胞と選択的に接合し、神経伝達物質放出装置とシナプス後のシグナル伝達カスケードを整列させる。これには、光受容体のジストログリカン-ジストロフィン複合体と、双極細胞のオーファン受容体GPR179との経シナプス的な会合が関与しており、細胞外マトリックスタンパク質のピカチュリン(別名EGFLAM)によって仲介される。この複合体は、光受容体のシナプス構成とシグナル伝達にきわめて重要な役割を果たしており、その構成要素に影響を及ぼす変異は、ヒトにおいて失明に至る障害を引き起こす。今回われわれは、ピカチュリンが経シナプス的な会合を構築する際の構造的構成と分子機構を検討し、X線結晶構造解析によりヒトピカチュリンのドメインの構造を明らかにするとともに、単一粒子クライオ電子顕微鏡によりGPR179-ピカチュリン複合体の構造を解明した。得られた構造から、GPR179のCacheドメインによりピカチュリンが認識される分子原理が明らかになり、それらの相互作用がシグナル伝達装置の経シナプス的な整列に関与する機構が示されている。総合すると、これらのデータは、光受容体のシナプス構成と眼病変を理解するための構造的基盤となる。

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