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別個の分子経路を介する二孔チャネル2のCa2+透過性の収束性活性化

Convergent activation of Ca2+ permeability in two-pore channel 2 through distinct molecular routes

Research Article

SCIENCE SIGNALING
22 Aug 2023 Vol 16, Issue 799
[DOI: 10.1126/scisignal.adg0661]

Ryo Saito1, 2, Qianru Mu1, Yu Yuan1, Marcos Rubio-Alarcón3, Maria Eznarriaga3, Pingwei Zhao4, Gihan Gunaratne5, Sushil Kumar5, Marco Keller6, Franz Bracher6, Christian Grimm7, Eugen Brailoiu4, Jonathan S. Marchant5, Taufiq Rahman3, *, Sandip Patel1, *

  1. 1 Department of Cell and Developmental Biology, University College London, Gower Street, London WC1E 6BT, UK.
  2. 2 Department of Dermatology, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan.
  3. 3 Department of Pharmacology, University of Cambridge, Cambridge, UK.
  4. 4 Center for Substance Abuse Research, Lewis Katz School of Medicine at Temple University, Philadelphia, PA 19140, USA.
  5. 5 Department of Cell Biology, Neurobiology and Anatomy, Medical College of Wisconsin, 8701 Watertown Plank Road, Milwaukee, WI 53226, USA.
  6. 6 Department of Pharmacy—Center for Drug Research, Ludwig-Maximilian University, Munich, Germany.
  7. 7 Walther Straub Institute of Pharmacology and Toxicology, Faculty of Medicine, Ludwig-Maximilians University, Munich, Germany.

* Corresponding author. Email: mtur2@cam.ac.uk (T.R.); patel.s@ucl.ac.uk (S.P.)

Editor's summary

セカンドメッセンジャーNAADPは、二孔チャネル(TPC)を間接的に刺激することによって細胞外の多様な合図に応答して酸性オルガネラからのCa2+放出を誘発する。これはTPCと会合するNAADP結合タンパク質によって媒介される。Saitoらは、ある合成化合物がNAADP結合タンパク質とは独立に、TPC2に媒介されるCa2+放出に対するNAADPの作用を模倣することを明らかにした。TPC2の変異体を用いた実験によって、NAADPによる活性化、模倣化合物による活性化、TPC2をよりNa+選択的な状態に切り換えるホスホイノシチドによる活性化に重要な特異的残基を同定した。これらの知見は、TPCゲート開閉に光を当て、病理学的な状況においてTPC2に依存したCa2+放出を回復させるための戦略を示唆するものである。—Annalisa M. VanHook

要約

TPC2は、病態生理学的に重要なリソソームイオンチャネルであり、ホスホイノシチドPI(3,5)P2によって直接的に活性化されるほか、カルシウムイオン(Ca2+)動員分子NAADPによっても、TPC2と会合するアクセサリータンパク質を介して間接的に活性化される。TPC2は、これらの合図に応答して、PI(3,5)P2に誘導されるナトリウムイオン(Na+)選択的な状態とNAADPに誘導されるCa2+透過性の状態を切り替える。多様式のゲート開閉とイオン選択性の切り替えの分子的基礎に取り組むために、われわれは、NAADPとその機能的合成アゴニストであるTPC2-A1-Nがヒト細胞においてTPC2を介してCa2+放出を誘導する機構を調べた。NAADPは内在性カルシウムイオンシグナルを誘発するためにNAADP結合タンパク質JPT2およびLSM12を必要としたが、TPC2-A1-Nは必要としなかった。NAADPによるチャネル活性化にはPI(3,5)P2に結合するTPC2の残基が必要であったが、TPC2-A1-Nによるチャネル活性化には必要なかった。TPC2-A1-NおよびPI(3,5)P2の活性にはTPC2の潜在的な電位感知領域が必要であったが、NAADPの活性には必要なかった。これらのデータは、Ca2+透過性に対する収束作用にかかわらず、天然および合成のアゴニストのTPC2に対する活性の機構的な違いを明らかにし、NAADP誘発性Ca2+シグナルの損傷を病理生理学的に補正するための道筋を描写するものである。

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