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E3/E4ユビキチンリガーゼUFD-2は線虫(Caenorhabditis elegans)においてRafオルソログを介する正常および発がんシグナル伝達を抑制する

The E3/E4 ubiquitin ligase UFD-2 suppresses normal and oncogenic signaling mediated by a Raf ortholog in Caenorhabditis elegans

Research Article

SCIENCE SIGNALING
29 Aug 2023 Vol 16, Issue 800
[DOI: 10.1126/scisignal.abq4355]

Robert Townley, Augustin Deniaud, Kennedy S. Stacy, Claudia S. Rodriguez Torres, Fatemeh Cheraghi, Nicole B. Wicker, Claire C. de la Cova*

Department of Biological Sciences, University of Wisconsin-Milwaukee, Milwaukee, WI 53201, USA.

* Corresponding author. Email: delacova@uwm.edu

Editor's summary

Rafファミリーのキナーゼは、Ras-MEK-ERKシグナル伝達カスケードの不可欠な構成要素であり、がんの進行に重要な役割を果たす。Townleyらは、遺伝子スクリーニングを用いて、線虫(Caenorhabditis elegans)におけるRafのオルソログであるLIN-45の調節因子を同定した。著者らは、E3/E4ユビキチンリガーゼのUFD-2が、野生型LIN-45と、がん関連変異体BRAF(V600E)に相当する変異を有する型の両方の存在量を減少させることを見出した。LIN-45の分解にはATPアーゼのCDC-48が必要であり、CDC-48はLIN-45を14-3-3タンパク質との複合体から分離し、UFD-2に接近できるようにした。これらの結果は、哺乳類細胞におけるRaf分解に関するわれわれの理解と、変異Rafのシグナル伝達を遮断するための戦略に影響を及ぼす。—Amy E. Baek

要約

Raf、MEKおよびERKで構成されるキナーゼカスケードによるシグナル伝達は、動物の発生に不可欠であり、ヒトの悪性腫瘍において不適切に活性化している場合が多い。われわれは、線虫(Caenorhabditis elegans)のRafオルソログであるLIN-45によって仲介されるシグナル伝達を制御する因子の同定を試みた。遺伝子スクリーニングにより、LIN-45の分解にはE3/E4ユビキチンリガーゼのUFD-2が必要であることが示された。UFD-2と、そのパートナーであるATP依存性セグリガーゼCDC-48の両方が、LIN-45タンパク質存在量の発生上の調節に必要であった。われわれは、UFD-2がE3ユビキチンリガーゼSCFSEL-10と同じ経路で作用し、Raf-MEK-ERKシグナル伝達の活性がもっとも高い細胞において、LIN-45存在量を減少させることを示した。UFD-2は、がん関連BRAF(V600E)変異体に相当する変異を有する活性化LIN-45のタンパク質存在量も減少させた。構造-機能研究では、LIN-45の保存されたシステインリッチドメインや14-3-3結合モチーフなどの、タンパク質-タンパク質相互作用を仲介するドメインの破壊が、UFD-2非依存性のLIN-45分解に必要であることが示された。われわれは、UFD-2とCDC-48がSCFSEL-10の下流で作用し、LIN-45をそのタンパク質相互作用パートナーから分離し、プロテアソーム標的化および分解を促進するというモデルを提案する。これらの結果は、UFD-2とCDC-48が、哺乳類細胞における正常なおよび発がん性のRas/MAPKシグナル伝達中のRaf分解に重要である可能性を示唆している。

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