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リジンラクチル化がミュータンス菌(Streptococcus mutans)の代謝経路とバイオフィルム形成を調節する

Lysine lactylation regulates metabolic pathways and biofilm formation in Streptococcus mutans

Research Article

SCIENCE SIGNALING
5 Sep 2023 Vol 16, Issue 801
[DOI: 10.1126/scisignal.adg1849]

Zhengyi Li1, Tao Gong1, Qinrui Wu1, 2, Yixin Zhang1, 2, Xin Zheng1, 2, Yuqing Li1, Biao Ren1, Xian Peng1, *, Xuedong Zhou1, 2, *

  1. 1 State Key Laboratory of Oral Diseases, National Clinical Research Center for Oral Diseases, West China Hospital of Stomatology, Sichuan University, Chengdu, China.
  2. 2 Department of Cariology and Endodontics, West China Hospital of Stomatology, Sichuan University, Chengdu, China.

* Corresponding author. Email: pengx@scu.edu.cn (X.P.); zhouxd@scu.edu.cn (X.Z.)

Editor's summary

解糖系の最終産物である乳酸は、口腔細菌のミュータンス菌(Streptococcus mutans)により高ショ糖に応答して産生されると、歯を損傷する。Liらは、高ショ糖条件下で増殖させたミュータンス菌において、乳酸を取り込む翻訳後修飾であるリジンラクチル化(Kla)を受ける部位を同定し、それらの特性を明らかにした。ショ糖は概してKlaの全体的増加を引き起こし、とくに代謝とタンパク質合成に関与するタンパク質のKlaを増加させた。アセチル化酵素のGNAT13はKlaを触媒し、in vitroでRNAポリメラーゼサブユニットRpoAをラクチル化した。GNAT13の過剰発現または高ショ糖下で減少したRpoAの一部位のラクチル化は、バイオフィルム形成を抑制した。これらの結果は、Klaが細菌の代謝調節に寄与することを示しており、GNAT13がおそらくはRpoAをラクチル化することによって、ショ糖により駆動されるバイオフィルム形成を制限している可能性があることを示唆している。—Annalisa M. VanHook

要約

真核生物において、解糖中に産生される乳酸は、リジンラクチル化(Kla)を介してさまざまな代謝過程の調節に関与する。原核生物における代謝とKlaの関連の可能性を検討するために、われわれは、低糖条件と、バイオフィルムを促進する高糖条件で、浮遊性増殖中の齲蝕原性細菌ミュータンス菌(Streptococcus mutans)のKlaの分布を調べた。これら2つの条件下で469個のタンパク質のKla部位1,869ヵ所が同定され、バイオフィルムの成長条件においてより多数のラクチル化部位およびタンパク質が示された。高糖条件によってKlaは全体的に増加したが、RNAポリメラーゼサブユニットα(RpoA)のLys173のラクチル化は減少した。この残基のラクチル化は、齲蝕原性バイオフィルムの主要成分である細胞外多糖体の合成を阻害した。Gcn5関連N-アセチル化酵素(GNAT)スーパーファミリーの酵素であるGNAT13は、細胞においてリジンラクチル化酵素(lactyltransferase)活性を示し、in vitroでRpoAのLys173をラクチル化した。GNAT13の過剰発現またはRpoAのLys173のラクチル化はいずれも、バイオフィルム形成を抑制した。これらの結果は、Klaの分布と潜在的な機能の概要を示すものであり、原核生物の代謝調節における乳酸の役割に関するわれわれの理解を深めるものである。

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