• ホーム
  • 膜に提示された抗原に対するB細胞応答には機械感受性陽イオンチャネルPiezo1の機能が必要である

膜に提示された抗原に対するB細胞応答には機械感受性陽イオンチャネルPiezo1の機能が必要である

B cell responses to membrane-presented antigens require the function of the mechanosensitive cation channel Piezo1

Research Article

SCIENCE SIGNALING
26 Sep 2023 Vol 16, Issue 804
[DOI: 10.1126/scisignal.abq5096]

Kihyuck Kwak1, 2, †, Haewon Sohn1, †, Rachel George1, Charles Torgbor1, Javier Manzella-Lapeira1, Joseph Brzostowski1, Susan K. Pierce1, *

  1. 1 Laboratory of Immunogenetics, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, Rockville, MD 20852, USA.
  2. 2 Department of Microbiology and Immunology, Institute for Immunology and Immunological Diseases, Brain Korea 21 PLUS Project for Medical Science, Yonsei University College of Medicine, Seoul 03722, Korea.

* Corresponding author. Email: spierce@nih.gov

These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

B細胞受容体(BCR)に抗原が結合した際のB細胞の活性化は、ワクチンによる抗体産生に重要である。B細胞は、可溶性抗原よりも膜結合型抗原によって強力に活性化される。画像解析と機能解析により、Kwakらは、機械感受性陽イオンチャネルのPiezo1が、膜に提示された抗原に対するB細胞の応答に必要であるが、可溶性抗原に対する応答には必要でないことを示した。Piezo1を介するCa2+流動の変化によって、B細胞が抗原を含む固い表面との接触を感知できるようになり、BCR活性化が生じた。これらの結果は、B細胞による抗体産生をさらに促進するワクチンの設計に役立つ可能性がある。—John F. Foley

要約

コロナウイルス疾患2019(COVID-19)に対するワクチンの需要は、抗原に対するB細胞応答、とくに生体内で起こるような、膜に提示された抗原に対するB細胞応答の必要条件に関するわれわれの理解のギャップを浮き彫りにした。われわれは、膜に提示された抗原に対するヒトB細胞応答に、細胞膜機械感受性陽イオンチャネルであるPiezo1の機能が必要であることを見出した。単にガラスプローブと接触するのみで、B細胞においてカルシウム(Ca2+)流動が誘導されたが、これはPiezo1阻害剤のGsMTx4によって阻害された。ガラス表面に置かれると、B細胞の細胞膜張力が増加し、それによりCa2+流入が刺激され、ガラス表面上にB細胞が広がったが、これはPiezo1阻害剤のOB-1によって阻害された。膜に提示された抗原に対するB細胞応答は、Piezo1阻害剤によっても、Piezo1のsiRNAを介するノックダウンによっても阻害されたが、可溶性抗原に対する応答は阻害されなかった。したがって、Piezo1の活性化は、膜に提示された抗原に対するB細胞活性化に不可欠な事象であり、この事象はワクチンの有効性の向上に利用できる可能性がある。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2023年9月26日号

Editors' Choice

ストレスを受けたHippoキナーゼはオートファジーを始める

Research Article

トランスクリプトームから推測される、SARS-CoV-2と宿主上皮細胞の相互作用のダイナミクス

膜に提示された抗原に対するB細胞応答には機械感受性陽イオンチャネルPiezo1の機能が必要である

最新のResearch Article記事

2025年07月29日号

USP5はFcεRIγを脱ユビキチン化して安定化させ、IgEに誘導されるマスト細胞の活性化とアレルギー性炎症を促進する

2025年07月29日号

プロテオミクス解析により発がん性KRASシグナル伝達の標的、経路および細胞への影響を特定

2025年07月22日号

心筋細胞におけるPTP1Bの欠失は心臓の代謝シグナル伝達を変化させ、高脂肪食によって誘発される心筋症を予防する

2025年07月22日号

レポーターに基づくスクリーニングによってRAS-RAF変異を大腸がんにおける活性型RAS阻害薬耐性のドライバーとして同定

2025年07月15日号

ウイルス性脳炎マウスでは、アストロサイトのRIPK3が転写レベルでセルピンを誘導することにより保護的抗炎症活性を発揮する