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免疫チェックポイント受容体LAG3によるリガンド依存性のTCRシグナル伝達の抑制は細胞質内RRFSALEモチーフに依存する

The ligand-dependent suppression of TCR signaling by the immune checkpoint receptor LAG3 depends on the cytoplasmic RRFSALE motif

Research Article

SCIENCE SIGNALING
3 Oct 2023 Vol 16, Issue 805
[DOI: 10.1126/scisignal.adg2610]

Katharina Aigner-Radakovics1, Annika De Sousa Linhares1, Benjamin Salzer2, 3, Manfred Lehner2, 3, Shiva Izadi4, Alexandra Castilho4, Winfried F. Pickl1, 5, Judith Leitner1, Peter Steinberger1, *

  1. 1 Medical University of Vienna, Center for Pathophysiology, Infectiology and Immunology, Institute of Immunology, Vienna, Austria.
  2. 2 Christian Doppler Laboratory for Next Generation CAR T Cells, Vienna, Austria.
  3. 3 St. Anna Children's Cancer Research Institute, Vienna, Austria.
  4. 4 Institute of Plant Biotechnology and Cell Biology (IPBT), Department of Applied Genetics and Cell Biology (DAGZ), University of Natural Resources and Life Sciences Vienna (BOKU), Vienna, Austria.
  5. 5 Karl Landsteiner University, Krems, Austria.

* Corresponding author. Email: peter.steinberger@meduniwien.ac.at

Editor's summary

免疫チェックポイント受容体LAG3は、古典的な阻害ドメインをもたないにもかかわらず、MHCクラスII分子または他のリガンドと会合すると、T細胞受容体(TCR)シグナル伝達を阻害する。抗LAG3抗体リラトリマブ(relatlimab)は、臨床的にメラノーマの複合免疫療法に使用される。Aigner-Radakovicsらは、LAG3の細胞質側末端にあるモチーフがヒトT細胞受容体系においてリガンド依存的にLAG3に媒介されるTCRシグナル伝達阻害に必要かつ十分であることを明らかにした。リラトリマブに関連する抗LAG3抗体は、LAG3リガンドの有無に関わりなくTCRシグナル伝達をブーストしたことから、このような抗体はLAG3のリガンド活性化とは独立して抗腫瘍免疫を促進する可能性が示唆された。—Annalisa M. VanHook

要約

リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)は、自己免疫と抗腫瘍反応を抑制する抑制性免疫チェックポイント受容体であるが、LAG3の進化的に保存された細胞質側末端には古典的な阻害モチーフがない。主要な組織適合性複合体クラスII(MHCクラスII)は確立されたLAG3リガンドであり、フィブリノーゲン様タンパク質1(FGL1)、リンパ節類洞内皮細胞C型レクチン(LSECtin)、ガレクチン3はLAG3機能において重要な役割を担う別の結合パートナーとして提唱されている。本稿でわれわれは、蛍光ヒトT細胞レポーターシステムを用いて、LAG3の機能を調べた。そしてLAG3が、MHCクラスII分子の存在下で、受容体プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)よりは低い程度でT細胞受容体刺激への応答を抑制することを明らかにした。欠失変異体の解析では、LAG3の細胞質側末端にあるRRFSALEモチーフがLAG3に媒介される阻害に必要かつ十分であることが示された。この系では、FGL1は阻害を弱く誘導するLAG3リガンドとして機能したが、LSECtinまたはガレクチン3は機能しなかった。抗LAG3抗体は、われわれのレポーター細胞においてLAG3に媒介される阻害を弱め、LAG3リガンドの非存在下でもレポーター細胞の活性化を促進したことから、阻害効果とは独立してT細胞応答を促進する可能性があることが示された。

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