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Patchedに結合するホスファチジン酸はショウジョウバエの翅発生におけるSmoothenedおよびHedgehogシグナル伝達の阻害に寄与する

Phosphatidic acid binding to Patched contributes to the inhibition of Smoothened and Hedgehog signaling in Drosophila wing development

Research Article

SCIENCE SIGNALING
17 Oct 2023 Vol 16, Issue 807
[DOI: 10.1126/scisignal.add6834]

Jie Zhang1, †, Yajuan Liu1, Chi Wang1, Craig W. Vander Kooi2, ‡, Jianhang Jia1, 2, *

  1. 1 Markey Cancer Center, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.
  2. 2 Department of Molecular and Cellular Biochemistry, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.

* Corresponding author. Email: jianhang.jia@uky.edu

† Present address: Molecular Genetics Lab, Predicine, Hayward, CA 94545, USA.

‡ Present address: Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Florida College of Medicine, Gainesville, FL 32610, USA.

Editor's summary

リガンドが存在しない場合、Hedgehog(Hh)受容体Ptcは膜貫通タンパク質Smoの活性を阻害し、発生時および恒常性にとって重要なHh経路を介した細胞内シグナル伝達を遮断する。Zhangらは、Ptcの細胞質尾部に結合するホスファチジン酸(PA)がハエおよび培養細胞におけるSmoの阻害に寄与することを発見した。この相互作用はHhによって減少した。PAはSmoにも結合し、その活性化を促進した。したがって、PtcはHhの非存在下でPAを捕捉、Hhの存在下でPAを放出し、それによりHhの非存在下ではSmo阻害が、Hhの存在下ではSmo活性化が強化される可能性がある。
—Annalisa M. VanHook

要約

Hedgehog(Hh)シグナル伝達は、胚発生時の成長とパターン形成、および成体組織の恒常性を制御する。Hhが受容体Patched(Ptc)に結合すると、膜貫通タンパク質Smoothened(Smo)のPtcを介した阻害が緩和され、細胞内シグナル伝達が誘発される。われわれは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のHh経路の調節における脂質ホスファチジン酸(PA)の役割を明らかにした。PtcのC末端尾部を欠失するか、その中のPA結合予測部位を変異させると、Ptcが翅原基および培養細胞においてSmoを阻害することを妨げた。PtcのC末端尾部は、in vitroでPAと直接相互作用し、培養細胞の細胞膜上のPA量を増加させた。また、その結合はHhによって減少した。Smoもまた、膜貫通領域に位置する結合ポケットを介してin vitroでPAと相互作用し、このポケット内の残基の変異によりin vivoおよび細胞でSmo活性が低下した。われわれは、生体内でPA量を遺伝的に操作するか、培養細胞をPAで処理することにより、PAがSmo活性化を促進することを実証した。これらの知見は、PtcがHhの非存在下ではPAを補足、Hhの存在下ではPAを放出することで、Smo活性化を促進するために局所的に利用可能なPA量を増加させる可能性を示唆している。

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