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DOK3はホスファターゼPP4CがT細胞シグナル伝達メディエーターCARD11を阻害できるようにすることでアトピー性皮膚炎を促進する

DOK3 promotes atopic dermatitis by enabling the phosphatase PP4C to inhibit the T cell signaling mediator CARD11

Research Article

SCIENCE SIGNALING
31 Oct 2023 Vol 16, Issue 809
[DOI: 10.1126/scisignal.adg5171]

Jia Tong Loh1, 2, *, Joey Kay Hui Teo1, Srinivasaraghavan Kannan3, Chandra S. Verma2, 3, 4, Anand Kumar Andiappan1, Hong-Hwa Lim1, Kong-Peng Lam1, 2, 5, *

  1. 1 Singapore Immunology Network (SIgN), Agency for Science, Technology and Research (A*STAR), 8A Biomedical Grove, Immunos, Singapore 138648, Republic of Singapore.
  2. 2 School of Biological Sciences, College of Science, Nanyang Technological University, 60 Nanyang Drive, Singapore 637551, Republic of Singapore.
  3. 3 Bioinformatics Institute, Agency for Science, Technology and Research (A*STAR), 30 Biopolis Street, Singapore 138671, Republic of Singapore.
  4. 4 Department of Biological Sciences, National University of Singapore, 16 Science Drive 4, Singapore 117558, Republic of Singapore.
  5. 5 Department of Microbiology and Immunology, Yong Loo Lin School of Medicine, National University of Singapore, 5 Science Drive 2, Singapore 117545, Republic of Singapore.

* Corresponding author. Email: jiatong.loh@ntu.edu.sg (J.T.L.); lam_kong_peng@immunol.a-star.edu.sg (K.-P.L.)

Editor's summary

アトピー性皮膚炎(湿疹の一種)は、原因不明のかゆみと痛みを伴う炎症性皮膚疾患であり、一部の患者ではT細胞シグナル伝達メディエーターCARD11の機能低下と関連している。Lohらは、マウスで足場タンパク質がCARD11の抑制とアトピー性皮膚炎症状の重症化に寄与する可能性を発見した。患者の血液細胞に豊富に存在し、患者由来のCARD11変異体に強く結合する足場タンパク質DOK3は、ホスファターゼPP4CをCARD11に動員し、機能的に不活性化してT細胞制御を障害した。DOK3の存在量を減らすと、アトピー性皮膚炎モデルマウスの症状が軽減された。したがって、DOK3-CARD11相互作用の強さが、アトピー性皮膚炎患者の症状の重症度を予測する可能性がある。—Leslie K. Ferrarelli

要約

足場タンパク質CARD11は、リンパ球における抗原受容体シグナル伝達の重要なメディエーターである。CARD11の低形質(部分的な機能欠失)変異は重度のアトピー性皮膚炎の発症と関連しており、T細胞受容体シグナル伝達が低下し、ヘルパーT細胞の分化がアレルギー関連2型表現型に偏る。本稿で、われわれはドッキングタンパク質DOK3がCARD11の活性を抑制することによりアトピー性皮膚炎の発症に重要な役割を果たすことを見出した。DOK3はCARD11と相互作用し、プロテインホスファターゼ4の触媒サブユニットを動員することによりT細胞におけるリン酸化を減少させ、それによって下流のシグナル伝達を弱めた。Dok3をノックアウトすると、T細胞によるサイトカインIFN-γの産生が亢進し、マウスの実験的アトピー性皮膚炎様の皮膚炎症に対する保護効果が得られた。DOK3の発現は、アトピー性皮膚炎患者から単離されたT細胞で増加しており、IFNGの発現と逆相関していた。アトピー性皮膚炎患者に見られる低形質性CARD11変異体のサブセットは、野生型CARD11よりも強くDOK3に結合した。われわれの知見は、DOK3とCARD11の相互作用の強さがアトピー性皮膚炎発症の素因となる可能性があることを示唆している。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

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