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アダプタータンパク質STINGの活性化はリン脂質PI4Pとの相互作用に依存する

The activation of the adaptor protein STING depends on its interactions with the phospholipid PI4P

Research Article

SCIENCE SIGNALING
12 Mar 2024 Vol 17, Issue 827
[DOI: 10.1126/scisignal.ade3643]

Rutger D. Luteijn1, *, Sypke R. van Terwisga1, Jill E. Ver Eecke1, Liberty Onia2, Shivam A. Zaver3, Joshua J. Woodward3, Richard W. Wubbolts4, David H. Raulet2, *, †, Frank J. M. van Kuppeveld1, †

  1. 1 Virology Section, Infectious Diseases and Immunology Division, Department of Biomolecular Health Sciences, Faculty of Veterinary Medicine, Utrecht University, Utrecht, Netherlands.
  2. 2 Department of Molecular and Cell Biology, and Cancer Research Laboratory, Division of Immunology and Molecular Medicine, University of California, Berkeley, CA, USA.
  3. 3 Department of Microbiology, University of Washington, Seattle, WA, USA.
  4. 4 Centre for Cell Imaging, Division of Cell Biology, Metabolism and Cancer, Department of Biomolecular Health Sciences, Faculty of Veterinary Medicine, Utrecht University, Utrecht, Netherlands.

* Corresponding author. Email: raulet@berkeley.edu (D.H.R); r.d.luteijn@uu.nl (R.D.L.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

STING経路は、細胞質DNAに応答して活性化され、小胞体(ER)からゴルジ体へのSTINGの移行を引き起こし、ゴルジ体でSTINGが免疫応答を刺激する。Luteijnらは、トランスゴルジネットワークにおいてPI4KBに依存したリン脂質PI4Pの産生に関与するゴルジ体常在タンパク質ACBD3が、STINGの活性化に必要であることを明らかにした。薬理学的操作によってトランスゴルジネットワーク中のPI4P量を増加させると、STINGの活性化が促進された。これらの知見は、PI4Pシグナル伝達を治療標的とすることによって、STING依存性の免疫応答を調節できる可能性を示唆するものである。—Amy E. Baek

要約

細胞質DNAセンシング経路の構成要素である小胞体(ER)常在アダプタータンパク質STINGの活性化は、I型インターフェロン(IFN)および他の炎症性因子をコードする遺伝子の転写を誘導する。STINGはゴルジ体で活性化されることから、STINGの局在性と活性化の制御は、抗ウイルス性および抗腫瘍性免疫応答を刺激するうえで重要である。われわれは、ゲノムワイドなCRISPR干渉スクリーニングによって、STINGの活性化には、トランスゴルジネットワークにおいてホスファチジルイノシトール-4-リン酸(PI4P)の産生を促進するゴルジ常在タンパク質ACBD3および他のPI4P関連タンパク質が必要であることを明らかにした。ゴルジ体でのSTINGの適切な局在化と活性化には、ACBD3およびPI4P産生キナーゼPI4KBが必要だった。対照的に、ゴルジ体からPI4Pを除去する脂質輸送タンパク質OSBPを、米国食品医薬品局(FDA)に認可された抗真菌薬イトラコナゾールで阻害すると、STINGの活性化が促進された。トランスゴルジネットワークにおいてSTINGを活性化させるリン脂質の存在量が増加すると、THP-1細胞内のIFN-βおよび他のサイトカインの産生量が増加した。さらに、PI4Pと結合できないSTING変異体は、STINGアゴニストに応答してERからゴルジ体へ移行することができなかったが、STINGをPI4Pが豊富な領域へ強制的に再局在化させると、STINGアゴニストによる刺激がなくてもSTINGの活性化が引き起こされた。このように、PI4PはSTINGの活性化にきわめて重要であり、PI4P量を操作することによって、治療目的でSTING依存性の免疫応答を調節できる可能性がある。

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