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Wnt9aおよびFzd9bのEGFR依存性エンドサイトーシスがゼブラフィッシュにおいて造血幹細胞の発生中にβ-カテニンシグナル伝達を促進する
EGFR-dependent endocytosis of Wnt9a and Fzd9b promotes β-catenin signaling during hematopoietic stem cell development in zebrafish
SCIENCE SIGNALING
16 Apr 2024 Vol 17, Issue 832
[DOI: 10.1126/scisignal.adf4299]
Nicole Nguyen1, Kelsey A. Carpenter1, Jessica Ensing1, Carla Gilliland1, Emma J. Rudisel1, Emily M. Mu1, Kate E. Thurlow1, 2, Timothy J. Triche Jr.3, Stephanie Grainger1, *
- 1 Department of Cell Biology, Van Andel Institute, Grand Rapids, MI 49503, USA.
- 2 Van Andel Institute Graduate School, Grand Rapids, MI 49503, USA.
- 3 Department of Epigenetics, Van Andel Institute, Grand Rapids, MI 49503, USA.
- * Corresponding author. Email: stephanie. grainger@vai.org
Editor's summary
Wnt9aに媒介される受容体Fzd9bの活性化は、上皮増殖因子受容体(EGFR)に依存する形でゼブラフィッシュにおける造血幹細胞の発生とヒト造血幹細胞の特異化に必要である。Nguyenらは、EGFRに媒介されるFzd9b尾部のリン酸化が、シグナル伝達に必要なWnt9a-Fzd9b複合体のエンドサイトーシスを誘導することを明らかにした。EGFRおよび他の受容体のエンドサイトーシスを促進するアダプタータンパク質EPS15は、細胞におけるWnt9a-Fzd9bエンドサイトーシスとゼブラフィッシュにおける造血幹細胞の発生にも必要であった。このように、Wnt9a-Fzd9b複合体は、EGFRおよびEPS15に依存する形でエンドサイトーシスされたあとにのみ、下流シグナル伝達を刺激する。—Annalisa M. VanHook
要約
膜貫通受容体で構成されるFrizzled(Fzd)ファミリーのメンバーに結合する分泌型Wntリガンドを介した細胞間コミュニケーションは、発生と恒常性に極めて重要である。Wnt9aは、Fzd9b、共受容体LRP5またはLRP6(LRP5/6)、および上皮増殖因子受容体(EGFR)を介してシグナルを伝達し、発生中のゼブラフィッシュおよびヒト造血幹細胞の初期増殖を促進する。本稿でわれわれは、リガンド受容体複合体のEGFR依存性エンドサイトーシスがシグナル伝達に必要であることを実証するために、蛍光標識された生物学的に活性のあるWnt9aとFzd9bの融合タンパク質を開発した。ヒト細胞において、このWnt9a-Fzd9b複合体は、迅速にエンドサイトーシスされ、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム、および小胞体を介して輸送された。われわれは、低分子阻害剤と遺伝学的手法とノックダウン手法を用いて、Wnt9a-Fzd9bエンドサイトーシスにはEGFRに媒介されるFzd9b尾部のリン酸化、カベオリン、足場タンパク質EGFRのタンパク質基質15(EPS15)が必要であることを明らかにした。LRP5/6と下流シグナル伝達構成要素AXINは、Wnt9a-Fzd9bシグナル伝達には必要だったが、エンドサイトーシスには必要なかった。EPS15をノックダウンまたは欠失させると、ゼブラフィッシュにおける造血幹細胞の発生が損なわれた。他のWntリガンドは、シグナル伝達活性にエンドサイトーシスを必要としないことから、エンドサイトーシスと輸送からなる特異的様式がWnt-Fzdの特異性を確立させる方法を示している可能性がある。