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改変ミニGタンパク質は対応するGPCRの内在化を妨げ、下流の細胞内シグナル伝達を阻害する
Engineered mini-G proteins block the internalization of cognate GPCRs and disrupt downstream intracellular signaling
SCIENCE SIGNALING
2 Jul 2024 Vol 17, Issue 843
DOI: 10.1126/scisignal.abq7038
Yusman Manchanda1, Liliane ElEid1, †, Affiong I. Oqua1, †, Zenouska Ramchunder1, Jiyoon Choi1, Maria M. Shchepinova2, Guy A. Rutter1, 3, 4, Asuka Inoue5, Edward W. Tate2, Ben Jones6, *, Alejandra Tomas1, *
- 1 Section of Cell Biology and Functional Genomics, Department of Metabolism, Digestion, and Reproduction, Imperial College London, London, UK.
- 2 Department of Chemistry, Imperial College London, Molecular Sciences Research Hub, London, UK.
- 3 CR-CH UM, Université de Montréal, Montréal, QC, Canada.
- 4 Lee Kong Chian School of Medicine, Nanyang Technological University, Singapore.
- 5 Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University, Sendai, Japan.
- 6 Section of Endocrinology and Investigative Medicine, Department of Metabolism, Digestion, and Reproduction, Imperial College London, London, UK.
* Corresponding author. Email: a.tomas-catala@imperial.ac.uk (A.T.); ben.jones@imperial.ac.uk (B.J.)
† These authors contributed equally to this work.
Editor's summary
ミニGタンパク質は、活性化されたGタンパク質共役受容体(GPCR)と安定的に相互作用するGαサブユニットの改変型であり、特定の細胞内区画からのGPCRシグナル伝達を調べるためによく用いられる。Manchandaらは、ミニGタンパク質がGPCRの内在化と区画化されたシグナル伝達を妨げることを見出した。Gαsに由来するミニGタンパク質の過剰発現により、β-アレスチン2のグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)へのアゴニスト誘導性の動員が妨げられ、受容体の内在化とエンドソームでのシグナル伝達が阻害された。その他のGPCRでも、対応するGαサブユニットのミニG型が過剰発現したときに、内在化の減少が認められた。この現象は潜在的な交絡要因となりうることから、区画化されたGPCRシグナル伝達を測定するためにミニGタンパク質を用いた実験の結果は、慎重に解釈すべきであることが示されている。—Annalisa M. VanHook
要約
ミニGタンパク質は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)をその活性コンホメーションで安定化させるように設計された、Gαサブユニットの改変型熱安定性バリアントである。小型で使いやすいため、Gαサブタイプと共役する受容体のレポーターとして、またさまざまな細胞内局在での区画化シグナル伝達を定量する細胞アッセイにおいても、細胞内のGPCR挙動を評価するための人気の高い手段である。今回われわれは、ミニGタンパク質を対応するGPCRとともに過剰発現することにより、GPCRのエンドサイトーシス輸送および関連する細胞内シグナル伝達が阻害されたことを報告する。Gαs共役GPCRのグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)を発現する細胞では、Gαsに由来するミニGタンパク質であるミニGsの共発現によって、β-アレスチン2の動員と受容体内在化が妨げられ、エンドソームでのGLP-1Rシグナル伝達が阻害された。これらの影響には、受容体のリン酸化や脂質ナノドメイン分離の変化は関与しなかった。さらに、GαiおよびGαqに由来するミニGタンパク質も、それらと共役するGPCRの内在化を阻害することがわかった。最後に、われわれは、GLP-1Rの内在化に影響を及ぼさない、活性化Gαs:GPCR複合体に特異的なナノボディ(Nb37)を用いて、GLP-1Rの代替的な細胞内シグナル伝達アッセイを作成した。われわれの結果は、細胞内シグナル伝達を評価する方法の設計する上で重要な意味をもつ。