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去勢抵抗性前立腺がんはSKP2の阻害により誘導されるオートファジー依存性アポトーシスによってアンドロゲン除去療法に感受性となる

Castration-resistant prostate cancer is resensitized to androgen deprivation by autophagy-dependent apoptosis induced by blocking SKP2

Research Article

SCIENCE SIGNALING
17 Dec 2024 Vol 17, Issue 867
[DOI: 10.1126/scisignal.adk4122]

Sherly I. Celada1, 2, Guoliang Li1, †, Lindsay J. Celada3, †, Thanigaivelan Kanagasabai1, Wenfu Lu1, LaKendria K. Brown1, Zaniya A. Mark1, Michael G. Izban4, Billy R. Ballard4, Xinchun Zhou5, Samuel E. Adunyah1, Robert J. Matusik6, Xiaofei Wang2, Zhenbang Chen1, *

  1. 1 Department of Biochemistry, Cancer Biology, Neuroscience and Pharmacology, Meharry Medical College, Nashville, TN 37208, USA.
  2. 2 Department of Biological Sciences, Tennessee State University, Nashville, TN 37209, USA.
  3. 3 Department of Medicine, Baylor College of Medicine, Houston, TX 77030, USA.
  4. 4 Department of Pathology, Anatomy and Cell Biology, Meharry Medical College, Nashville, TN 37208, USA.
  5. 5 Department of Pathology, University of Mississippi Medical Center, Jackson, MS 39216, USA.
  6. 6 Department of Urology, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN 37232, USA.
  7. * Corresponding author. Email: zchen@mmc.edu
  8. These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は、アンドロゲン除去療法に反応せず、悪性度が高く、患者の予後は不良である。Celadaらは、アンドロゲンシグナル伝達標的療法に対するCRPCの感受性を回復させる薬理学的アプローチを見出した。細胞周期制御複合体の構成成分である酵素SKP2の阻害により、オートファジーが誘導され、続いて細胞死が開始された。アンドロゲン受容体阻害剤の同時投与により、それらの効果が増強され、マウスにおいて腫瘍増殖が抑制された。以上の結果から、この併用アプローチはCRPCの治療に有効である可能性が示唆される。—Leslie K. Ferrarelli

要約

前立腺がん(PCa)のアンドロゲン受容体(AR)標的療法に対する抵抗性は、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と呼ばれる高悪性度のサブタイプの特徴であり、腫瘍再発を伴う場合が多い。CRPC患者における再発と予後不良はいずれも、E3ユビキチンリガーゼSKP2の存在量の増加と関連がある。そこでわれわれは、ARとSKP2の複合阻害によるCRPCの治療可能性を検討した。低分子阻害剤によりARとSKP2を同時に標的化すると、2つの培養CRPC細胞株およびヒト化マウスの異種移植片において増殖が減少することがわかった。さらに、マウスにおける併用療法により、とくに浸潤性の高いCRPCモデルであるPten/Trp53ダブルノックアウト腫瘍の増殖が顕著に減少した一方、ARまたはSKP2のいずれかを単独で阻害した場合には、増殖がわずかに抑制されたのみであった。機構的には、CRPC細胞におけるSKP2の阻害により、オートファジー依存性アポトーシスが誘導されて管腔細胞関連表現型が促進され、それによりAR標的療法に対する反応性が向上した。これらの効果は、ARの同時阻害によってさらに増強され、AR阻害剤単独では誘導されなかった。われわれの結果は、CRPCを治療するためにはARおよびSKP2シグナル伝達経路の両方を標的とする必要があることを示している。

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