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バソプレシン2型受容体が媒介する持続的Gαsシグナル伝達はリガンド依存性だがエンドサイトーシスとβ-アレスチンには依存しない
Sustained Gαs signaling mediated by vasopressin type 2 receptors is ligand dependent but endocytosis and β-arrestin independent
SCIENCE SIGNALING
18 Feb 2025 Vol 18, Issue 874
DOI: 10.1126/scisignal.adf6206
Larissa B. Teixeira1, 2, 3, Marie-José Blouin2, Christian Le Gouill2, Louis-Philippe Picard1, 2, Claudio M. Costa-Neto4, *, Michel Bouvier1, 2, *, Lucas T. Parreiras-e-Silva1, 2, 5, *
- 1 Department of Biochemistry and Molecular Medicine, Université de Montréal, Montreal, QC H3T 1J4, Canada.
- 2 Institute for Research in Immunology and Cancer (IRIC), Université de Montréal, Montreal, QC H3T 1J4, Canada.
- 3 Department of Biochemistry and Immunology, Ribeirao Preto Medical School, University of Sao Paulo, Ribeirao Preto, SP 14.049-900, Brazil.
- 4 Department of Radiology and Oncology, Faculty of Medicine, University of São Paulo, São Paulo, SP 01246-903, Brazil.
- 5 Department of BioMolecular Sciences, Ribeirão Preto Pharmaceutical Sciences School, University of São Paulo, Ribeirão Preto, SP 14.040-903, Brazil.
- * Corresponding author. Email: michel.bouvier@umontreal.ca (M.B.); lucastabajara@usp.br (L.T.P.-e-S.); claudio@fmrp.usp.br (C.M.C.-N)
Editor's summary
バソプレシン2型受容体(V2R)は体液平衡を調節するGタンパク質共役受容体であり、リガンドであるアルギニンバソプレシンおよびオキシトシンにより活性化されうる。Teixeiraらは、持続的V2Rシグナル伝達は活性化リガンドの種類に依存するが、足場タンパク質であるβ-アレスチンによる受容体の内部移行には依存しないことを見いだした。V2Rに誘導されるシグナル伝達は主に細胞膜で生じていた。また、その持続時間は受容体上のリガンド滞在時間に依存しており、アルギニンバソプレシンによる活性化時にはオキシトシンによる活性化時と比べて持続時間が長かった。さらに、β-アレスチンにより誘導されるV2Rのエンドソームへの内部移行は、酸性化しているエンドソームのpHによってV2Rからのリガンド解離が生じることから、V2Rシグナル伝達の停止を助けていた。これらの結果から、細胞膜上のV2Rシグナル伝達の全体的な持続時間は、受容体上のリガンド滞在時間により決定されることが示された。—Wei Wong
要約
Gタンパク質共役受容体(GPCR)シグナル伝達の古典的モデルは、細胞膜上のGタンパク質の活性化と、それに続く受容体のリン酸化およびβ-アレスチンの動員、それによって生じる受容体の脱感作およびエンドサイトーシスというものである。しかし、一部のGPCRの活性化では、β-アレスチンおよび受容体のエンドサイトーシスに依存する形で、細胞内コンパートメントからの持続的なGタンパク質シグナル伝達が生じると報告されている。バソプレシン2型受容体(V2R)は、アルギニンバソプレシンとオキシトシンという構造的に類似した2つのホルモンよって活性化されることがあり、これらはいずれもセカンドメッセンジャーである環状アデノシン一リン酸(cAMP)の産生を刺激する。この研究でわれわれは、持続的なV2Rシグナル伝達およびエンドソームへのGαs(刺激性Gタンパク質αサブユニット)の移行が、β-アレスチンを介した受容体エンドサイトーシスなしに生じる可能性があり、主には受容体上のリガンド滞在時間により制御されていることを明らかにした。β-アレスチンは、持続的シグナル伝達に反対に作用していた。β-アレスチンは、エンドソームへの受容体の内部移行を促進し、そこでGαsを活性化し、このコンパートメントからのcAMP産生を促進する。しかし、β-アレスチンを介した受容体のエンドサイトーシスは、その酸性のエンドソーム環境によってリガンド解離も誘導し、そこでシグナル伝達を制限していた。まとめるとわれわれのデータは、細胞膜に端を発するシグナルが、アルギニンバソプレシンにより刺激される持続的なV2Rシグナル伝達において主要な役割を果たしていることを示唆している。