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骨髄のサーチュイン6欠損はノルエピネフリンの分解を誘導することによって発熱性組織機能を制限してマウスの肥満を引き起こす

Myeloid sirtuin 6 deficiency causes obesity in mice by inducing norepinephrine degradation to limit thermogenic tissue function

Research Article

SCIENCE SIGNALING
11 Mar 2025 Vol 18, Issue 877
DOI: 10.1126/scisignal.adl6441

Wei Wang1, †, Jichao Liang1, †, Yinliang Zhang2, †, Junjun Wang1, Xiaolei Miao3, Yongsheng Chang2, *, Yong Chen1, *

  1. 1 National & Local Joint Engineering Research Center of High-Throughput Drug Screening Technology, Hubei University, Wuhan, China.
  2. 2 Key Laboratory of Immune Microenvironment and Disease (Ministry of Education), Tianjin Medical University, Tianjin, China.
  3. 3 School of Pharmacy, Hubei University of Science and Technology, Xianning, Hubei, China.
  4. † These authors contributed equally to this work.
  5. * Corresponding author. Email: changys@tmu.edu.cn (Y. Chang); cy101610@qq.com (Y. Chen)

Editor's summary

褐色脂肪組織は、ホルモンであるノルエピネフリンによって刺激される熱産生と呼ばれる過程において、熱の形でエネルギーを消失させる。Wangらは、褐色脂肪組織中のノルエピネフリン量を制御するうえで脂肪組織マクロファージの脱アセチル化酵素サーチュイン6(SIRT6)が担う役割を調べた。高脂肪食を与えられたマウスの肥満は、マクロファージのSIRT6欠損によって増悪された。SIRT6は、ノルエピネフリン輸送体およびノルエピネフリン分解酵素をコードする遺伝子のプロモーターのアセチル化と発現を減少させた。このように、マクロファージのSIRT6はノルエピネフリンの分解を防ぎ、それによって褐色脂肪組織の熱産生機能を確実にしてマウスの肥満を抑制する。—Wei Wong

要約

褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞は、脱共役した呼吸を介して熱を産生しエネルギーを消失させ、ホルモンであるノルエピネフリンは、褐色脂肪の熱産生と白色脂肪貯組織においてベージュ脂肪細胞の発達を刺激する重要な役割を担う。褐色脂肪およびベージュ脂肪の機能および発達を促進させることによるエネルギー消費の増加は、肥満および糖尿病の治療法となる可能性がある。本稿でわれわれは、マクロファージのサーチュイン6(SIRT6)が褐色脂肪組織(BAT)のノルエピネフリン含有量の調節とマウスの肥満に与える影響を調べた。骨髄のSIRT6欠損は、BATの熱産生機能が障害され、BAT中のノルエピネフリン濃度の減少を原因とする深部体温の低下に続いて低温感受性を引き起こした。加えて、酸素消費速度が低下し、結果的に、重度のインスリン抵抗性と肥満を引き起こした。さらに、マクロファージのSIRT6欠損は、寒冷曝露後またはノルエピネフリン処置後のBATの熱産生、および寒冷曝露によって誘導される白色脂肪組織の脂質代謝および熱産生のマーカーの増加を阻害した。骨髄特異的なSIRT6欠損は、BATのマクロファージにおいて、ノルエピネフリン分解酵素MAOAおよびノルエピネフリン輸送体SLC6A2をコードする遺伝子のプロモーター領域のH3K9アセチル化と発現を促進し、ノルエピネフリンの分解と肥満を引き起こした。これらの知見は、マクロファージのSIRT6がマウスのBATのノルエピネフリン濃度を維持するために必要不可欠であることを示している。

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