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細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

A lupus-derived autoantibody that binds to intracellular RNA activates cGAS-mediated tumor immunity and can deliver RNA into cells

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Mar 2025 Vol 18, Issue 879
DOI: 10.1126/scisignal.adk3320

Xiaoyong Chen1, Xiangjun Tang2, Ying Xie2, Benedette J. Cuffari1, Caroline Tang1, Fei Cao1, Xingchun Gao2, Zhouqi Meng2, Philip W. Noble1, Melissa R. Young1, 3, Olivia M. Turk1, Anupama Shirali1, Joseph Gera4, 5, 6, 7, Robert N. Nishimura7, 8, Jiangbing Zhou2, 3, James E. Hansen1, 3, *

  1. 1 Department of Therapeutic Radiology, Yale School of Medicine, New Haven, CT06520, USA.
  2. 2 Department of Neurosurgery, Yale School of Medicine, New Haven, CT06520, USA.
  3. 3 Yale Cancer Center, Yale School of Medicine, New Haven, CT06520, USA.
  4. 4 Department of Medicine, David Geffen School of Medicine at UCLA, Los Angeles, CA90095, USA.
  5. 5 Johnson Comprehensive Cancer Center, UCLA, Los Angeles, CA90095, USA.
  6. 6 Molecular Biology Institute, UCLA, Los Angeles, CA90095, USA.
  7. 7 Department of Research & Development, Veterans Affairs Greater Los Angeles Healthcare System, North Hills, CA91343, USA.
  8. 8 Department of Neurology, David Geffen School of Medicine at UCLA, Los Angeles, CA90095, USA.
  9. * Corresponding author. Email: james.e.hansen@yale.edu

Editor's summary

多くのがんは、免疫監視を抑制し、免疫標的療法に抵抗性を示す。Chenらは、自己免疫疾患ループスに関連する抗体を利用することによって抗腫瘍免疫と治療を改善できる可能性があることを示した。4H2と呼ばれるその抗体は、細胞に取り込まれ、細胞内で内在性(「自己」)RNAに結合し、核酸センサーcGASを動員して活性化させ、活性化したcGASによって炎症性シグナル伝達を開始させた。この炎症性シグナル伝達は、培養液中の脳腫瘍、肺がん、乳がんの細胞に対して細胞傷害性を示したが、正常な乳房上皮細胞に対しては細胞傷害性を示さなかった。グリオブラストーマ(神経膠芽腫)を有するマウスでは、4H2は全身投与後に腫瘍微小環境に局在し、T細胞に依存する形でマウスの生存率を改善し、免疫チェックポイント阻害療法の有効性を向上させたことから、患者の治療に役立つ可能性が示された。—Leslie K. Ferrarelli

要約

全身性エリテマトーデス(SLE)の病態生理である自己免疫の中核を成すと考えられている免疫応答は、核酸に媒介されるシグナル伝達によって引き起こされる。本稿でわれわれは、細胞透過性SLE関連抗グアノシン自己抗体によって、がんの治療機会がもたらされる可能性を示した。この自己抗体は、エンドソームとリソソームを回避する膜輸送であるヌクレオシドサルベージ関連経路を介して細胞内に入り、生細胞内の内在性RNAに結合する。同所性グリオブラストーマ(神経膠芽腫)モデルでは、この抗体は壊死腫瘍細胞に隣接する領域に局在し、T細胞に依存する形でモデル動物の生存を促進した。機構研究により、核酸に結合した抗体が細胞質パターン認識受容体である環状GMP-AMP合成酵素(cGAS)を活性化し、それによって免疫シグナル伝達とcGAS依存性の細胞傷害性を刺激することが示された。さらに、この自己抗体は、生きたマウスに局所投与されると、機能性RNAを輸送して腫瘍組織内、脳組織内、筋組織内へと送達することができた。これらの知見は、自己抗体–核酸間の協同的相互作用を立証するもので、これは非ウイルス性の遺伝子送達と免疫療法のための戦略へと応用可能である。

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