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内因性Gαi活性の高感度バイオセンサーにより内因性GPCRアゴニスト応答の正確な特性評価が可能に
A sensitive biosensor of endogenous Gαi activity enables the accurate characterization of endogenous GPCR agonist responses
SCIENCE SIGNALING
25 Mar 2025 Vol 18, Issue 879
DOI: 10.1126/scisignal.adp6457
Alex Luebbers1, Remi Janicot1, Jingyi Zhao1, Clementine E. Philibert1, Mikel Garcia-Marcos1, 2, *
- 1 Department of Biochemistry & Cell Biology, Chobanian & Avedisian School of Medicine, Boston University, Boston, MA02118, USA.
- 2 Department of Biology, College of Arts & Sciences, Boston University, Boston, MA02115, USA.
- * Corresponding author. Email: mgm1@bu.edu
Editor's summary
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は多くの生理学的プロセスを制御し、重要な薬理学的標的である。Luebbersらは、細胞株とマウスアストロサイトの両方でGPCR刺激に応答したGαiサブユニットの内因性活性化を直接測定する光学バイオセンサGαi bONE-GOを開発した。神経細胞株でGαi bONE-GOを用いた実験により、オピオイド受容体の完全作動薬に分類されているいくつかの神経ペプチドが、むしろ部分作動薬として挙動することが明らかになった。GPCR活性化の測定に通常用いられるバイオセンサーとは異なり、Gαi bONE-GOは外因的に発現させた受容体やGタンパク質に依存せず、単一の発現コンストラクトを用いて多くの細胞型に展開できる。—Annalisa M. VanHook
要約
Gタンパク質共役受容体(GPCR)によるヘテロ三量体Gタンパク質(Gαβγ)の活性化は、真核生物が細胞膜を介してシグナルを伝達するために広く用いている機構であり、多くの臨床薬の標的となっている。GPCRに刺激されたGタンパク質の活性測定に一般的に用いられる多くの光学バイオセンサーは、外因的に発現させたGPCRやGタンパク質に依存しており、これにより読み取りの忠実度が損なわれる。内因性シグナル伝達を測定するバイオセンサーは、調査中のシグナル伝達過程に干渉したり、検出のダイナミックレンジが限られていたりする可能性があり、それにより適用が妨げられる。今回、われわれは、内因性GPCR刺激による内因性GTP結合(活性)Gαiを既存の内因性活性センサーよりも堅牢に検出する光学BRETベースのバイオセンサー、Gαi bONE-GOを開発した。その設計では、Gαi結合タンパク質GINIPを、Gαi-GTPの高親和性かつ特異的な検出器として活用している。この設計は、下流のGi依存性シグナル伝達との干渉を防ぎ、一次アストログリア細胞のアデノシン受容体や細胞株のオピオイド受容体などの内因性GPCRが関わるさまざまな実験系に実装できるように最適化された。神経細胞株では、Gαi bONE-GOは、いくつかの天然オピオイド神経ペプチドが部分アゴニストとして作用することを示す活性化プロファイルを明らかにした。これは、外因的に発現させた受容体とGタンパク質に依存するバイオセンサーを用いた際の完全アゴニストとしての特性評価とは対照的であった。Gαi bONE-GOバイオセンサーは、さまざまな実験設定でGPCRによるGαiタンパク質の内因性活性化を直接かつ高感度に検出するが、その後のシグナル伝達の伝播を妨げることはない。