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TIM3は細胞傷害性T細胞機能の状況依存的コレギュレーターである

TIM3 is a context-dependent coregulator of cytotoxic T cell function

Research Article

SCIENCE SIGNALING
23 Sep 2025 Vol 18, Issue 905
DOI: 10.1126/scisignal.adk4594

Hanin Alamir1, †, Carissa C. W. Wong1, 2, †, Amal Alsubaiti1, Grace L. Edmunds1, ‡, Maryam Alismail1, Lan Huynh1, Yiwei Shi1, Philip A. Lewis3, Tressan Grant1, 4, Safaa Alsulaimani1, James Boyd1, Christopher J. Holland5, David J. Morgan1, Awen M. Gallimore2, Christoph Wülfing1, *

  1. 1 School of Cellular and Molecular Medicine, University of Bristol, Bristol BS8 1TD, UK.
  2. 2 School of Medicine, University of Cardiff, Cardiff CF14 4XN, UK.
  3. 3 Proteomics Facility, University of Bristol, Bristol BS8 1TD, UK.
  4. 4 Department of Life Sciences, University of Bath, Bath BA2 7AY, UK.
  5. 5 ImmunoCore Ltd., Abingdon OX14 4RY, UK.
  6. * Corresponding author. Email: christoph.wuelfing@bristol.ac.uk
  7. † These authors contributed equally to this work.
  8. ‡ Present address: Department of Pathobiology, School of Veterinary Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.

Editor's summary

T細胞上のいわゆる抑制性共受容体は、抗腫瘍免疫を増強するチェックポイント阻害薬の標的である。Alamirらは腫瘍細胞由来のスフェロイド系を用いて、マウスおよびヒトの細胞傷害性T細胞(CTL)上の共調節性受容体TIM3の役割を検討した。イメージングおよび機能研究から、TIM3は、比較的免疫抑制的であるスフェロイドの3次元環境においてCTLの反応を阻害する一方で、2次元の試験系では共刺激作用を果たすことが明らかとなった。これらの知見から、TIM3はT細胞において状況依存的に抑制性シグナルまたは刺激性シグナルを増幅することが示唆された。このことは、TIM3を標的とする治療の開発に役立つと考えられる。—John F. Foley

要約

TIM3は、T細胞を含む複数の免疫細胞種上に非常に豊富に存在し、抗原の長期曝露に応答する共調節性受容体である。また、腫瘍微小環境においては機能的に抑制された細胞傷害性T細胞(CTL)を特徴づけている。TIM3は、in vivoでは抑制性の機能を示すが、矛盾することにin vitroでは共刺激性T細胞シグナル伝達の能力がある。本稿でわれわれは標的腫瘍細胞のスフェロイドとの直接相互作用において、TIM3が、マウスおよびヒトCTLの機能を直接的に抑制することを見いだした。TIM3は、細胞溶解における必要なステップとして抑制されたCTLがそのアクチン細胞骨格を極性化する能力を、制御していた。一方、想定されているTIM3リガンドであるCEACAM1とガレクチン9が標的腫瘍細胞上でトランス発現しているときはTIM3機能が亢進し、CTL上でCEACAM1がシス発現しているときは逆の作用が認められた。TIM3は、スフェロイドで抑制されたCTL上では抑制性受容体として働いたが、2次元組織培養モデルの活性化CTL上では抑制性受容体として働かなかった。まとめるとこれらのデータは、TIM3は、それが発現しているT細胞の機能的背景に応じて共抑制受容体または共刺激受容体のいずれかとして働き、T細胞の機能を増強していることを示唆している。

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