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AMPKのアデノシン2A受容体依存性活性化はエピジェネティックな代謝リプログラミングを介してTH17細胞の病原性を抑制する

Adenosine 2A receptor–dependent activation of AMPK represses TH17 cell pathogenicity through epigenetic and metabolic reprogramming

Research Article

SCIENCE SIGNALING
23 Sep 2025 Vol 18, Issue 905
DOI: 10.1126/scisignal.adr3177

Gina Papadopoulou1, 2, Dimitrios Valakos3, Ioanna Polydouri3, Afroditi Moulara1, Giannis Vatsellas3, Stefano Angiari4, 5, Marah C. Runtsch5, 6, Marc Foretz7, Benoit Viollet7, Antonino Cassotta8, Luke A. J. O’Neill5, Georgina Xanthou1, *

  1. 1 Cellular Immunology Laboratory, Center of Basic Research, Biomedical Research Foundation of the Academy of Athens, 115 27 Athens, Greece.
  2. 2 Department of Genetics, Development, and Molecular Biology, School of Biology, Aristotle University of Thessaloniki, 54124 Thessaloniki, Greece.
  3. 3 Molecular Biology Laboratory, Center of Basic Research, Biomedical Research Foundation of the Academy of Athens, 115 27 Athens, Greece.
  4. 4 Division of Immunology, Otto Loewi Research Center, Medical University of Graz, A-8010 Graz, Austria.
  5. 5 School of Biochemistry and Immunology, Trinity Biomedical Sciences Institute, Trinity College Dublin, D02 R590 Dublin, Ireland.
  6. 6 Division of Oncology, Otto Loewi Research Center, Medical University of Graz, A-8010 Graz, Austria.
  7. 7 Université Paris Cité, CNRS, Inserm, Institut Cochin, 75014 Paris, France.
  8. 8 Institute for Research in Biomedicine, Università della Svizzera italiana, 6500 Bellinzona, Switzerland.
  9. * Corresponding author. Email: gxanthou@bioacademy.gr

Editor's summary

Tヘルパー17(TH17)細胞は感染を防御するが、病原性状態をとり、自己免疫を促進することもある。Papadopoulouらは、酸化的リン酸化がマウスにおいて非病原性TH17細胞状態を促進し、これはアデノシン受容体A2ARによるキナーゼAMPKの活性化に依存することを見出した。AMPKはヒストンアセチル化酵素PCAFの存在量を減少させ、それによって好気的解糖に関与する遺伝子の発現を低下させ、酸化的リン酸化に関与する遺伝子の発現を増加させた。この経路を遮断すると、TH17細胞はマウスにおいて実験的自己免疫性脳脊髄炎を誘発することができた。—Annalisa M. VanHook

要約

代謝リプログラミングは防御性および病原性のTヘルパー17(TH17)細胞応答を制御する。In vitroでナイーブT細胞をTH17細胞に分化させると、サイトカインのアクチビンAの存在によって、非病原性状態への成熟が促進される。今回、われわれは、アクチビンAにより誘導された非病原性TH17細胞が、好気的解糖の減少と酸化的リン酸化(OXPHOS)の増加を示すことを見出した。アクチビンAに反応して、アデノシンA2A受容体(A2AR)とAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を介するシグナル伝達により、OXPHOSが増強され、病原性TH17細胞がリプログラムされて非病原性状態となり、多発性硬化症のマウスモデルにおいて中枢神経系自己免疫を誘発しなかった。病原性TH17細胞では、転写コアクチベーターであるp300/CBP関連因子(PCAF)によって、好気的解糖およびTH17病原性プログラムに関与する遺伝子のヒストン3 Lys9のアセチル化(H3K9ac)が増加していた。一方、アクチビンAで処理した非病原性TH17細胞では、AMPKシグナル伝達によって、好気的代謝に関与する遺伝子のPCAFを介するH3K9ac修飾が抑制され、OXPHOSおよび非病原性TH17プログラムに関与する遺伝子のH3K9ac修飾が増強された。総合すると、われわれの結果は、A2AR-AMPKシグナル伝達が、TH17細胞の病原性を抑制する中心的代謝チェックポイントであることを明らかにするものである。

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