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E3ユビキチンリガーゼZNRF3はWNT結合FZDの選択的分解を刺激することでWNT受容体複合体の活性を制限している
The E3 ubiquitin ligase ZNRF3 restricts WNT receptor complex activity by stimulating the selective degradation of WNT-engaged FZD
SCIENCE SIGNALING
14 Oct 2025 Vol 18, Issue 908
DOI: 10.1126/scisignal.adv1529
Bo Lu and Feng Cong*
- Discovery Sciences, Novartis Institutes for Biomedical Research, Cambridge, MA 02139, USA.
- * Corresponding author. Email: feng.cong@novartis.com
Editor's summary
Wntシグナル伝達経路は多くの発生過程と恒常性維持過程に重要であり、さらに種々のがんの増殖と進行に寄与している。LuとCongは、内因的にWNTを産生し、これに反応するヒト細胞において、E3ユビキチンリガーゼZNRF3がWNTの存在下でのみWNT受容体FZDのユビキチン化と分解を促進することを見いだした。ZNRF3によるFZDの分解は、活性化されたWNT結合FZDに動員された細胞内アダプタータンパク質DVLにも依存していた。この知見により、活性化された受容体を特異的に分解の標的にすることでWntシグナル伝達を制限するネガティブフィードバックの存在が明らかにされた。—Annalisa M. VanHook
要約
WNTファミリーのリガンドは、WNT受容体シグナロソームの形成を誘導して転写コアクチベーターβ-カテニンの安定化を促進している。相同性をもつ膜貫通型E3ユビキチンリガーゼであるZNRF3およびRNF43は、WNT受容体FZDの分解を刺激することにより、WNT依存性のβ-カテニン安定化を阻害する一方で、分泌されたR-スポンジンタンパク質は、ZNRF3およびRNF43の分解を誘導することによりFZDの安定化を促進している。本稿でわれわれは、HEK293細胞においてR-スポンジンに誘導されるβ-カテニンの安定化は、FZDの過剰発現により再現されないことを報告し、この重要な制御機構に関する我々の理解とのギャップを浮き彫りにした。ZNRF3が恒常的にFZDのユビキチン化と分解を媒介しているという従来の見解に反して、今回われわれは、ZNRF3誘導性のFZDの分解は内因性WNTに依存し、しかもZNRF3はWNT結合FZDを選択的に分解していることを見いだした。WNTはFZDと細胞内アダプタータンパク質DVLの結合を強化し、続いてDVLがZNRF3をFZDに動員して、FZD分解を促進していた。われわれのデータは、WNTシグナル伝達が、WNT結合FZDのZNRF3依存性分解を通じて自身を能動的に制限していること、さらに、R-スポンジンが、単に細胞表面上のFZDの存在量を増やすだけでなく、WNT結合FZD複合体の作用を延長させることでWNTシグナル伝達を増強することを示唆している。