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PI3Kアイソフォームのp110αおよびp110は、プレB細胞受容体シグナル伝達とB細胞発生に不可欠である

The PI3K Isoforms p110α and p110δ Are Essential for Pre-B Cell Receptor Signaling and B Cell Development

Research Article

Sci. Signal., 10 August 2010
Vol. 3, Issue 134, p. ra60
[DOI: 10.1126/scisignal.2001104]

Faruk Ramadani1, Daniel J. Bolland2, Fabien Garcon1, Juliet L. Emery1, Bart Vanhaesebroeck3, Anne E. Corcoran2, and Klaus Okkenhaug1*

1 Laboratory of Lymphocyte Signalling and Development, Babraham Institute, Cambridge CB22 3AT, UK.
2 Chromatin and Gene Expression, Babraham Institute, Cambridge CB22 3AT, UK.
3 Centre for Cell Signaling, Institute of Cancer, Queen Mary University of London, Charterhouse Square, London EC1M 6BQ, UK.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: klaus.okkenhaug@bbsrc.ac.uk

要約:B細胞発生は、免疫グロブリン(Ig)をコードする遺伝子に機能性のB細胞受容体(BCR)と抗体を確実 に産生させるための一連のチェックポイントによって調節される。この過程の一環として、組換え活性化遺伝子(Rag)タンパク質は、Igをコードする遺伝 子のインフレームの構築を調節する。BCRは、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むIgaおよびIgb鎖と複合した複数のIgタンパク質で 構成される。チロシンキナーゼSrcおよびSykの活性化はBCRシグナル伝達にとって不可欠であるが、これらのキナーゼの下流で作用する経路は完全には 明らかにされていない。これまでの研究で、アゴニストに誘導されるBCRシグナル伝達においてホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)の p110δアイソフォームが果たす主要な役割が明らかにされているが、アゴニスト非依存性または「持続性」のBCRシグナル伝達に依存する初期B細胞の発 生および成熟B細胞の生存は、p110δの欠失にほとんど影響されない。本稿では、p110δではなくp110αが、p110δの欠損を補完し、骨髄にお ける初期B細胞の発生と脾臓におけるB細胞の生存を促進したことを示す。p110αとp110δの両方を失活させると、プレBCRシグナル伝達はRagタ ンパク質の産生を抑制することができず、B細胞前駆体の発生進行を促進できなかった。しかし、p110δとは異なり、p110αはアゴニスト誘導BCRシ グナル伝達に寄与しなかった。今回の研究は、p110αとp110δのいずれか一方があればBCRからの持続的シグナル伝達を仲介できるものの、B細胞の 抗原依存性活性化に寄与できるのはp110δのみであることを示している。

F. Ramadani, D. J. Bolland, F. Garcon, J. L. Emery, B. Vanhaesebroeck, A. E. Corcoran, K. Okkenhaug, The PI3K Isoforms p110α and p110δ Are Essential for Pre-B Cell Receptor Signaling and B Cell Development. Sci. Signal. 3, ra60 (2010).

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