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雄の生殖能力は精巣上体上皮のTRPV6によるCa2+吸収に依存する

Male Fertility Depends on Ca2+ Absorption by TRPV6 in Epididymal Epithelia

Research Article

Sci. Signal., 3 May 2011
Vol. 4, Issue 171, p. ra27
[DOI: 10.1126/scisignal.2001791]

Petra Weissgerber1, Ulrich Kriebs1*, Volodymyr Tsvilovskyy1*, Jenny Olausson1*, Oliver Kretz2, Christof Stoerger1, Rudi Vennekens1, Ulrich Wissenbach1, Ralf Middendorff3, Veit Flockerzi1, and Marc Freichel1†

1 Experimentelle und Klinische Pharmakologie und Toxikologie, Universitat des Saarlandes, D-66421 Homburg, Germany.
2 Institute of Anatomy and Cell Biology, Department of Neuroanatomy, University of Freiburg, 79104 Freiburg, Germany.
3 Institut fur Anatomie und Zellbiologie, Justus Liebig Universitat Giesen, Aulweg 123, D-35385 Giesen, Germany.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: marc.freichel@uks.eu

要約:TRPV6[transient receptor potential vanilloid 6、一過性受容器電位バニロイド6]は、もともとは十二指腸上皮と胎盤で同定されたカルシウムイオン(Ca2+) 選択的チャネルで、ポア形成領域の負の電荷をもつアスパラギン酸を無電荷のアラニンに置換(D541A)することによって、異種発現されたTRPV6チャ ネルの機能が失われる。われわれは、この突然変異のホモ接合型(Trpv6D541A/D541A)の雄マウスは重篤な生殖能障害を示すが、雌マウスは示 さないことを見出した。精子形成能は損なわれていないにもかかわらず、精子の運動性と受精能は著しく低下した。Trpv6は精巣上体上皮で発現されてお り、頂端膜で検出されたが、精子または胚上皮では発現されていなかった。Trpv6D541A/D541A型雄マウスの精巣上体尾部の精液中のCa2+濃度は、野生型マウスに比べて10倍高く、同時に精巣上体上皮によるCa2+吸収が7〜8倍低下し、精子生存率の低下との関連がみられた。このように、精子の基本機能獲得と生存には、適切なCa2+吸収と、その結果として生じるTRPV6を介した細胞外Ca2+濃度の勾配(精巣上体管の遠位セグメントに向かって低下)が不可欠である。

P. Weissgerber, U. Kriebs, V. Tsvilovskyy, J. Olausson, O. Kretz, C. Stoerger, R. Vennekens, U. Wissenbach, R. Middendorff, V. Flockerzi, M. Freichel, Male Fertility Depends on Ca2+ Absorption by TRPV6 in Epididymal Epithelia. Sci. Signal. 4, ra27 (2011).

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2011年5月3日号

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