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モノホスホリルリピドAによるNLRP3インフラマソームプライミング障害のメカニズム

Mechanism of Impaired NLRP3 Inflammasome Priming by Monophosphoryl Lipid A

Research Article

Sci. Signal., 3 May 2011
Vol. 4, Issue 171, p. ra28
[DOI: 10.1126/scisignal.2001486]

Chelsea A. Embry1, Luigi Franchi2, Gabriel Nunez2, and Thomas C. Mitchell1*

1 Department of Microbiology and Immunology and Institute for Cellular Therapeutics, University of Louisville School of Medicine, 570 South Preston Street, Louisville, KY 40202, USA.
2 Department of Pathology and Comprehensive Cancer Center, University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI 48109, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: tom.mitchell@louisville.edu

要約:エンドトキシンリポ多糖(LPS)の無毒性誘導体の1つであるモノホスホリルリピドA(MLA)は、米国においてワクチンアジュバントとしての使用が承認されている。LPSとMLAはToll様受容体4(TLR4)のリガンドであり、LPSが毒性の炎症を誘発する一方、MLAが安全で有効な免疫刺激を引き起こす理由は明らかになっていない。TLR4の下流のシグナル伝達は、適応免疫の結果に必要なアダプタータンパク質TRIF[Toll-インターロイキン1(IL-1)受容体(TIR)ドメイン含有アダプター誘導インターフェロンβ]と、多数の炎症促進作用に関与するMyD88(ミエロイド分化マーカー88)によって仲介される。LPSとMLAの作用の相違を説明する、排他的でない2つのモデルが提唱されている。1つ目のモデルによれば、MLAは炎症性サイトカインIL-1βの成熟を誘導できず、これはプロIL-1βの生理活性型への変換に必要なカスパーゼ1が活性化されないためである。2つ目のモデルからは、MLAが二つのTLR4のシグナル伝達アダプター経路の関与を不均等にし、その結果、TRIFを介するシグナル伝達の大部分が無傷である一方、MyD88を介するシグナル伝達は不完全となることが示唆されている。われわれは、低毒性MLAに特徴的な、TRIFに偏ったシグナル伝達によって、カスパーゼ1の活性化障害が説明されることを示す。MyD88に依存するNLRP3誘導が欠損すると、前もって形成された不活性なプロカスパーゼ1が活性化されるために必要なIL-1β活性化インフラマソームの構成要素の会合が減少した。さらに、MyD88とTRIFが、NLRP3インフラマソームのプライミングに関与することを明らかにするとともに、MLAによるTRIFに偏ったTLR4活性化が、成熟IL-1β産生の欠損の原因であることを示した。

C. A. Embry, L. Franchi, G. Nunez, T. C. Mitchell, Mechanism of Impaired NLRP3 Inflammasome Priming by Monophosphoryl Lipid A. Sci. Signal. 4, ra28 (2011).

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