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β2-アドレナリン受容体の異なるリン酸化部位がβ-アレスチンの異なる機能をコードするバーコードを作り上げる

Distinct Phosphorylation Sites on the β2-Adrenergic Receptor Establish a Barcode That Encodes Differential Functions of β-Arrestin

Research Article

Sci. Signal., 9 August 2011
Vol. 4, Issue 185, p. ra51
[DOI: 10.1126/scisignal.2001707]

Kelly N. Nobles1*, Kunhong Xiao2*†, Seungkirl Ahn2, Arun K. Shukla2,3, Christopher M. Lam2, Sudarshan Rajagopal2, Ryan T. Strachan2, Teng-Yi Huang2, Erin A. Bressler2, Makoto R. Hara2, Sudha K. Shenoy2,4, Steven P. Gygi5, and Robert J. Lefkowitz1,2,3†

1 Department of Biochemistry, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
2 Department of Medicine, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
3 Howard Hughes Medical Institute, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
4 Department of Cell Biology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
5 Department of Cell Biology, Harvard University Medical School, 240 Longwood Avenue, Boston, MA 02115, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: lefko001@receptor-biol.duke.edu (R.J.L.);khxiao@receptor-biol.duke.edu (K.X.)

要約:Gタンパク質共役型受容体(GPCR、7回膜貫通型受容体としても知られる)のGPCRキナーゼ(GRK)によるリン酸化は、受容体のβ-アレスチンとの相互作用を促進することにより、受容体機能の調節に重要な役割を果たす。これらの多機能性アダプタータンパク質は、Gタンパク質への受容体結合を減少させ、受容体内部移行を促進することによってGPCRを脱感作し、β-アレスチン特異的な経路によるGPCRシグナル伝達を仲介する。各GRKの標的となるGPCRのリン酸化部位を詳細にマッピングし、これらの部位が、β-アレスチンの結合による特異的かつ機能的結果を調節する仕組みを解明することが、個々のβ-アレスチン機能を標的とする治療薬の発見に役立つ可能性がある。β2-アドレナリン受容体(b2AR)には、カルボキシル末端鎖と細胞内ループに多数のセリン残基とスレオニン残基があり、これらがリン酸化部位となる可能性がある。われわれは、すべてのGRKの存在下あるいはGRK2またはGRK6を枯渇させた状態下で、Gタンパク質を介する経路とβ-アレスチンを介する経路両方によるシグナル伝達を促進するアゴニストを用いて、またはβ-アレスチンを介する事象のみによってシグナル伝達を促進するバイアスリガンドを用いて、刺激を加え、特異的部位におけるb2ARのリン酸化を観察した。さらに、各GRKによる受容体リン酸化の特異的かつ特徴的なパターンについて、β-アレスチンの機能との関連を検討した。各GRKによって作られた異なるリン酸化パターンが、動員されたβ-アレスチンに異なるコンホメーションを与える「バーコード」を作り上げ、それによって機能的活性を調節していることを提唱する。

K. N. Nobles, K. Xiao, S. Ahn, A. K. Shukla, C. M. Lam, S. Rajagopal, R. T. Strachan, T.-Y. Huang, E. A. Bressler, M. R. Hara, S. K. Shenoy, S. P. Gygi, R. J. Lefkowitz, Distinct Phosphorylation Sites on the β2-Adrenergic Receptor Establish a Barcode That Encodes Differential Functions of β-Arrestin. Sci. Signal. 4, ra51 (2011).

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