• ホーム
  • 社会性アメーバによる動的なシグナル伝達応答における多様な感受性閾値

社会性アメーバによる動的なシグナル伝達応答における多様な感受性閾値

Diverse Sensitivity Thresholds in Dynamic Signaling Responses by Social Amoebae

Research Article

Sci. Signal., 28 February 2012
Vol. 5, Issue 213, p. ra17
[DOI: 10.1126/scisignal.2002449]

C. Joanne Wang*, Adriel Bergmann*, Benjamin Lin, Kyuri Kim, and Andre Levchenko†

Department of Biomedical Engineering, Johns Hopkins University, 3400 North Charles Street, Clark Hall Room 207, Baltimore, MD 21218, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: alev@jhu.edu

要約:アメーバである細胞性粘菌(キイロタマホコリカビ;Dictyostelium discoideum)による子実体形成における単細胞から多細胞体への複雑な変化は、構成細胞の走化性を駆り立てる拍動性の集団シグナル伝達の過程を伴う。この現象の解析に用いられる細胞は、通常は遺伝的に同一(同質遺伝子型)であるが、波状のシグナル伝達刺激に対する応答性が等しいかどうかは明らかでなく、集団全体にわたる応答が集団の細胞行動にどのように影響を与えるかも明らかでない。今回われわれは、同質遺伝子型のDictyostelium細胞が、化学走性誘因物質サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)に対して異なる感受性を示すことを見出した。さらに、その結果起こるシグナル伝達応答が、あるモデルによって説明できた。このモデルでは、細胞は最初の入力から5〜6分間さらに刺激しても応答せず、シグナル伝達の出力が増幅され、その増幅の閾値は集団内の細胞によって異なっている。この経路構造によって、細胞遊走時に化学走性誘因物質の勾配が細胞内で増幅されることの説明が可能である。この新しいモデルから、多様な細胞応答性により集団的な細胞行動が促進される可能性があることが予測される。それは、特に最初のcAMPシグナル伝達の波を細胞集団全体に伝播するのに役立つ応答性が増大した細胞が集団の中に少数存在するためである。

C. J. Wang, A. Bergmann, B. Lin, K. Kim, A. Levchenko, Diverse Sensitivity Thresholds in Dynamic Signaling Responses by Social Amoebae. Sci. Signal. 5, ra17 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年2月28日号

Editors' Choice

代謝
それはどれほど甘いのか

Editorial Guides

特集:細胞の方向感覚

Research Article

社会性アメーバによる動的なシグナル伝達応答における多様な感受性閾値

PTENのプロテインホスファターゼ活性は腫瘍抑制表現型である遺伝子発現および浸潤の制御と相関するがAKT活性とは相関しない

Perspectives

アクチンはどのようにしてPIPを手に入れるのか

最新のResearch Article記事

2025年11月11日号

SH2ドメイン含有シグナル伝達タンパク質SHP2およびSRCではイオン化可能なネットワークがpH依存性アロステリーを仲介する

2025年11月11日号

CSF1R-CAR T細胞はCSF1Rシグナル伝達を誘導し、標的細胞の増殖を促進しうる

2025年11月04日号

白血球には乾癬様皮膚炎症時の動員を制御するヘパラン硫酸グリコカリックスがある

2025年11月04日号

コルドイドグリオーマのPRKCA D463H変異はマウスにおいて早発性軟骨肉腫を誘導するキナーゼ不活性型機能獲得型対立遺伝子である

2025年10月28日号

腸由来のソルビトールは腸内細菌の非存在下で脂肪性肝疾患を引き起こす