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脂肪細胞においてVASP-Rac-可溶性グアニル酸シクラーゼ経路はcGMP産生を制御する

A VASP-Rac-Soluble Guanylyl Cyclase Pathway Controls cGMP Production in Adipocytes

Research Article

Sci. Signal., 28 August 2012
Vol. 5, Issue 239, p. ra62
[DOI: 10.1126/scisignal.2002867]

Katja Jennissen1, Franziska Siegel1*, Michaela Liebig-Gonglach1*, Michaela-Rosemarie Hermann1,2*, Stefanie Kipschull1, Sander van Dooren1, Wolfram S. Kunz3, Reinhard Fässler2, and Alexander Pfeifer1,4†

1 Institute of Pharmacology and Toxicology, University of Bonn, 53105 Bonn, Germany.
2 Department of Molecular Medicine, Max Planck Institute of Biochemistry, 82152 Martinsried, Germany.
3 Division of Neurochemistry, Department of Epileptology, University of Bonn, 53105 Bonn, Germany.
4 Pharma-Center, University of Bonn, 53105 Bonn, Germany.

* These authors contributed equally to this work.

†To whom correspondence should be addressed. E-mail: alexander.pfeifer@uni-bonn.de

要約:遍在するセカンドメッセンジャーであるサイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)は、代謝に重要な役割を果たし、褐色脂肪細胞の分化を促進する。今回われわれは、cGMPシグナル伝達カスケードの主要な下流成分である、血管拡張因子刺激リンタンパク質(VASP)をコードする遺伝子を欠損させると、褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞、およびマウス胚性線維芽細胞における細胞内cGMP濃度が増大することを示した。VASP欠損細胞はRac1の活性化が亢進しており、次に一酸化窒素の主な受容体である、cGMP産生酵素の可溶性グアニリル酸シクラーゼ(sGC)の存在量が増加増大した。その結果として、VASP欠損はcGMP濃度の増加させ、褐色脂肪細胞の分化を亢進した。in vitroのデータと一致して、VASP欠損マウスにおけるエネルギー消費の増大、および寒さへの曝露によってVASP欠損褐色脂肪細胞における脂肪分解と細胞呼吸の亢進が引き起こされることがわかった。さらに、VASP欠損マウスでは、白色脂肪中で褐色様脂肪細胞の発達が亢進していた。われわれのデータから、VASP−Rac−sGCの負のフィードバックループがcGMP産生を制限し、それによって脂肪生成およびエネルギーの恒常性を調節することが明らかになった。

K. Jennissen, F. Siegel, M. Liebig-Gonglach, M.-R. Hermann, S. Kipschull, S. van Dooren, W. S. Kunz, R. Fässler, A. Pfeifer, A VASP-Rac-Soluble Guanylyl Cyclase Pathway Controls cGMP Production in Adipocytes. Sci. Signal. 5, ra62 (2012).

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