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Gタンパク質調節因子RGS9-2とGβ5の複合体が線条体における5型アデニル酸シクラーゼの感作およびシグナル伝達の動態を調節する

The Complex of G Protein Regulator RGS9-2 and Gβ5 Controls Sensitization and Signaling Kinetics of Type 5 Adenylyl Cyclase in the Striatum

Research Article

Sci. Signal., 28 August 2012
Vol. 5, Issue 239, p. ra63
[DOI: 10.1126/scisignal.2002922]

Keqiang Xie1, Ikuo Masuho1, Cameron Brand2, Carmen W. Dessauer2, and Kirill A. Martemyanov1*

1 Department of Neuroscience, The Scripps Research Institute, Jupiter, FL 33458, USA.
2 Department of Integrative Biology and Pharmacology, The University of Texas Health Science Center, Houston, TX 77225, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: kirill@scripps.edu

要約線条体における複数の神経伝達物質系が収斂して、いくつかのヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)-共役受容体(GPCR)を活性化することによって線条体ニューロンの興奮性を調節する。これらのGPCRは、細胞内セカンドメッセンジャーのサイクリックAMP(cAMP)を産生する主要なエフェクター酵素である5型アデニル酸シクラーゼ(AC5)にシグナルを伝達する。線条体におけるcAMPシグナル伝達の可塑性は、薬物中毒の発生に不可欠な役割を果たすと考えられている。われわれは、Gタンパク質シグナル伝達の第9番目の調節因子(RGS9-2)とGタンパク質βサブユニット(Gβ5)との複合体が、線条体におけるドパミンおよびオピオイドGPCRからAC5へのシグナル伝達を厳密に制御していることを明らかにした。RGS9-2/Gβ5はAC5と直接相互作用して、この基礎活性を抑制した。さらにRGS9-2/Gβ5複合体は、GαoのGTPアーゼ(グアノシントリホスファターゼ)活性を亢進させ、不活性なヘテロ三量体の形成を促してGβγを阻害することによって、AC5に対するGβγの刺激活性を減弱した。さらにRGS9-2/Gβ5は、Gαiの非活性化速度を亢進することによって、AC5の阻害からの回復を促進した。RGS9欠損マウスはcAMPの産生の亢進を示し、オピオイド投与からの離脱時にはAC5への感作亢進を示した。今回の知見から、cAMPシグナル伝達の主要な3点、すなわちAC5の基礎活性、感作、および時間的動態の調節因子としてのRGS9-2/Gβ5複合体の役割が確認された。これによって、線条体においてcAMPシグナル伝達を形作る抑制性および刺激性のGPCRの調節におけるこの複合体が果たす役割が示された。

K. Xie, I. Masuho, C. Brand, C. W. Dessauer, K. A. Martemyanov, The Complex of G Protein Regulator RGS9-2 and Gβ5 Controls Sensitization and Signaling Kinetics of Type 5 Adenylyl Cyclase in the Striatum. Sci. Signal. 5, ra63 (2012).

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