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グアニル酸シクラーゼAおよびBは触媒ドメインへのATP結合によってアロステリックに活性化される非対称二量体である

Guanylyl Cyclases A and B Are Asymmetric Dimers That Are Allosterically Activated by ATP Binding to the Catalytic Domain

Research Article

Sci. Signal., 4 September 2012
Vol. 5, Issue 240, p. ra65
[DOI: 10.1126/scisignal.2003253]

Jerid W. Robinson1 and Lincoln R. Potter1,2*

1 Department of Pharmacology, University of Minnesota, Minneapolis, MN 55455, USA.
2 Department of Biochemistry, Molecular Biology, and Biophysics, University of Minnesota, Minneapolis, MN 55455, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: potter@umn.edu

要約:ナトリウム利尿ペプチドおよびアデノシン三リン酸(ATP)が、セカンドメッセンジャーのサイクリックグアノシン一リン酸を生成するグアニル酸シクラーゼ(GC-A)およびGC-Bをどのようにして活性化するのかはわかっていない。本研究では、ATP非存在下で、これらの酵素反応の最大速度が、ナトリウム利尿ペプチドによって正の協調的性を示して10倍以上増大することを明らかにした。ナトリウム利尿ペプチド非存在下では、ATPが基質‐速度プロファイルを協調的プロファイルから線形プロファイルに移行させたが、ミカエリス定数は不変であったので、基質であるグアノシン三リン酸(GTP)に対するGCの親和性は増大させなかった。しかし、ナトリウム利尿ペプチド存在下では、ATPはアロステリック部位への結合に関してGTPと競合し、ミカエリス定数を低下させることによってGCの活性を亢進させた。このように、触媒部位へのアロステリック活性化シグナルの伝達にはナトリウム利尿ペプチドの結合が必要であった。GTP濃度の増加とともにATPのGC活性化能は低下し、酵素能力(刺激に対する感受性の指標)は増大した。触媒ドメインのプリン結合部位における点突然変異はGC活性を失わせたが、アロステリック活性化は抑制しなかった。不活性な変異体を共発現すると、対称的な触媒二量体として予測される半分の活性を示された。2'-デオキシ-ATPおよび2'-デオキシ-GTPのアロステリック活性化能は低かったが、2'-デオキシ-GTPは効果的な基質であり、アロステリック部位と触媒部位で異なる結合要件をもつことと一致していた。以上より、われわれは、膜GCドメインは、別々であり相反的な調節を受ける触媒部位とアロステリック部位からなる非対称ホモ二量体であり、前者はGTPと、後者はATPと結合すると結論する。これらのデータは、新たな膜GC活性化モデルを定義し、これまで特定されていなかったGC薬物相互作用部位の証拠を示すものである。

J. W. Robinson, L. R. Potter, Guanylyl Cyclases A and B Are Asymmetric Dimers That Are Allosterically Activated by ATP Binding to the Catalytic Domain. Sci. Signal. 5, ra65 (2012).

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