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プロテインキナーゼ‐基質間相互作用を再検討する:治療の開発に向けて
Revisiting protein kinase–substrate interactions: Toward therapeutic development
Sci. Signal. 22 Mar 2016:
Vol. 9, Issue 420, pp. re3
DOI: 10.1126/scisignal.aad4016
Paulo Sérgio L. de Oliveira1, Felipe Augusto N. Ferraz1, Darlene A. Pena2, Dimitrius T. Pramio2, Felipe A. Morais2, and Deborah Schechtman2,*
1 Laboratório Nacional de Biociências, Centro Nacional de Pesquisa em Energia e Materiais, Campinas 13083-970, Brazil.
2 Departamento de Bioquímica, Instituto de Química, Universidade de São Paulo, São Paulo 05508000, Brazil.
* Corresponding author. E-mail: deborah@iq.usp.br
要約 製薬企業は特異的キナーゼモジュレーターの開発に取り組んでいるが、臨床で完全に成功しているキナーゼ標的薬は少ない。これは主に、キナーゼ、とくに触媒ドメインの保存された性質に原因がある。そのため、現在利用可能な阻害薬の多くには、有効な臨床応用のための十分な選択性が欠けている。キナーゼは、基質をリン酸化して、それらの活性を調整する。タンパク質リン酸化の触媒反応において重要な段階の一つは、触媒部位内の標的残基の正確な位置決めである。この位置決めは、基質結合部位のいくつかの領域によって仲介される。基質結合部位は通常、浅い凹部で、基質を固定し方向付ける、重要なサブポケットをもつ。このタンパク質間相互作用の構造的特性解析が、異なる細胞過程における異なるキナーゼの役割の解明や、基質の同定、そして特異的阻害薬の開発に役立つ可能性がある。基質の中でキナーゼによって認識される領域は、連続コンセンサスモチーフの一部であることも、非連続モチーフの一部であることもあるため、コンセンサスモチーフの簡単な連続配列スキャニングを超える技術の進歩が必要であった。費用対効果の高いバイオインフォマティクスツールが、連続コンセンサスモチーフでのキナーゼ‐基質間相互作用の予測にすでに高い頻度で用いられており、これらの相互作用の構造的データに基づく新たなツールによって、そのような予測の精度が向上し、非連続モチーフ内のリン酸化部位の同定が可能となっている。このReviewでは、キナーゼ‐基質間相互作用を再検討し、標的薬の開発に向けてそのような相互作用を同定しそれらの結合構造を解析する上で利用可能な、さまざまな手法を論じる。
Citation: P. S. L. de Oliveira, F. A. N. Ferraz, D. A. Pena, D. T. Pramio, F. A. Morais, D. Schechtman, Revisiting protein kinase-substrate interactions: Toward therapeutic development. Sci. Signal. 9, re3 (2016).