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腫瘍壊死因子スーパーファミリーシグナル伝達の構造原則

Structural principles of tumor necrosis factor superfamily signaling

Reviews

Sci. Signal. 02 Jan 2018:
Vol. 11, Issue 511, eaao4910
DOI: 10.1126/scisignal.aao4910

Éva S. Vanamee and Denise L. Faustman*

Immunobiology Department, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA 02129, USA.

* Corresponding author: Email: faustman@helix.mgh.harvard.edu

要約

腫瘍壊死因子(TNF)リガンドおよび受容体スーパーファミリーは、細胞の増殖、生存、死滅に重要な役割を果たす。TNFスーパーファミリーシグナル伝達経路の刺激または阻害は、がんや自己免疫、感染症などのさまざまな疾患の患者に治療効果をもたらすことが期待される。われわれは、TNFスーパーファミリーのリガンド、受容体、それらの相互作用の構造と幾何学に関する最新の知見を概説する。三量体リガンドと、それぞれが2つのリガンド単量体の界面で結合する3つの受容体が、シグナル伝達の基本単位を形成する。効率的なシグナル伝達のためには、複数の受容体サブユニットのクラスター形成が必要である。最新の報告から、受容体は、逆平行二量体から成る大きな六角構造で「シグナルを伝達しない」静止状態をとるように、細胞表面で前もって配置されていることが示唆されている。受容体の活性化にはリガンド結合が必要であり、架橋抗体は、受容体を安定化させ、それにより活性のシグナル伝達状態を維持する能力をもつ。一方、受容体の配置を逆平行二量体に固定するアンタゴニスト抗体は、シグナル伝達を効果的に遮断する。このモデルは、TNFシグナル伝達を標的とする、より効果的な療法の設計に役立つ可能性がある。

Citation: E. S. Vanamee, D. L. Faustman, Structural principles of tumor necrosis factor superfamilysignaling. Sci. Signal. 11, eaao4910 (2018)

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