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大腸がんマウスモデルにおいてTNFR2シグナル伝達の遮断はCpG ODNの免疫治療効果を高める

Blockade of TNFR2 signaling enhances the immunotherapeutic effect of CpG ODN in a mouse model of colon cancer

Research Article

Sci. Signal. 02 Jan 2018:
Vol. 11, Issue 511, eaan0790
DOI: 10.1126/scisignal.aan0790

Yingjie Nie1,2, Jiang He3, Hidekazu Shirota1, Anna L. Trivett1, De Yang1, Dennis M. Klinman1, Joost J. Oppenheim1,*, and Xin Chen3,1,*

1 Cancer Inflammation Program, Center for Cancer Research, National Cancer Institute, Frederick, MD 21702, USA.
2 Department of Research, Guizhou Provincial People's Hospital, Guiyang, Guizhou 550002, China.
3 State Key Laboratory of Quality Research in Chinese Medicine, Institute of Chinese Medical Sciences, University of Macau, Macao SAR 999078, China.

* Corresponding author. Email: xchen@umac.mo (X.C.); oppenhej@mail.nih.gov (J.J.O.)

要約

腫瘍壊死因子(TNF)は、TNF受容体II型(TNFR2)を介して、CD4+Foxp3+制御性T(Treg)細胞を選択的に活性化し、増殖させ、表現型安定性を促進する。TNFR2の存在量が高いTreg細胞は、最大の免疫抑制能を有する。われわれは、TNFR2を標的とすることにより、Treg 細胞の活性が効果的に抑制され、その結果として、がん免疫療法の有効性が高まるかどうかを検討した。最適用量未満の免疫賦活性Toll様受容体9リガンドCpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)と比較して、最適用量未満のCpG ODNをTNFR2遮断抗体M861と併用した場合には、皮下に移植したマウスCT26結腸腫瘍細胞の増殖がより顕著に抑制されることがわかった。これにより、TNFR2+ Treg 細胞が著しく減少するとともに、腫瘍に浸潤するインターフェロン-γ陽性(IFN-γ+)CD8+細胞傷害性Tリンパ球が増加し、マウスコホートの長期無腫瘍生存が改善した。無腫瘍マウスは、同一細胞による再負荷に対して抵抗性を示したが、無関係の(4T1乳がん)細胞による再負荷には抵抗性を示さなかった。TNFR2遮断抗体とCD25標的抗体の併用により処理した場合も、同系4T1乳がんマウスモデルにおいて、腫瘍増殖の抑制が増強された。したがって、TNFR2阻害薬と免疫賦活治療薬の併用が、種々のがんに対してより効果的な治療戦略となる可能性がある。

Citation: Y. Nie, J. He, H. Shirota, A. L. Trivett, D. Yang, D. M. Klinman, J. J. Oppenheim, X. Chen, Blockade of TNFR2 signaling enhances the immunotherapeutic effect of CpG ODN in a mouse model of colon cancer. Sci. Signal. 11, eaan0790 (2018).

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