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AMPA型グルタミン酸受容体のシナプス後局在化及び長期増強中のそれらの調節の機序

Mechanisms of postsynaptic localization of AMPA-type glutamate receptors and their regulation during long-term potentiation

Reviews

Sci. Signal. 01 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 562, eaar6889
DOI: 10.1126/scisignal.aar6889

Olivia R. Buonarati1, Erik A. Hammes1, Jake F. Watson2, Ingo H. Greger2, and Johannes W. Hell1,*

1 Department of Pharmacology, University of California at Davis, Davis, CA 95616-8636, USA.
2 Neurobiology Division, MRC Laboratory of Molecular Biology, Cambridge CB2 0QH, UK.

* Corresponding author. Email: jwhell@ucdavis.edu

要約

L-グルタミン酸は主な脳の興奮性神経伝達物質であり、その放出に対するシナプス後応答は主にAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)によって媒介される。動力学的にシナプス後部位に動員され、係留される応答シナプス後受容体の数の変化が、シナプス可塑性における重要な要素である。AMPARシナプス後輸送及び局在化を媒介する分子機序を明らかにする所見が次々と得られている。非従来型のAMPAR分泌輸送は、樹状突起中で、ゴルジ体とは独立して、小胞体(ER)からER-ゴルジ中間コンパートメントを介して直接、リサイクリングエンドソームに至るという経路を取る。エキソサイトーシスが生じると、AMPARは細胞膜中に拡散し、シナプス後部位に到達し、そこで捕捉され、伝達に寄与し続ける。この捕捉は、TARP(膜貫通AMPAR調節タンパク質)とα-アクチニンによって安定化されたPSD-95との結合などの細胞内相互作用と、受容体アミノ末端ドメインを介した細胞外相互作用の両方を介して生じる。これらの係留機序により、グルタミン酸放出部位に関する正確な受容体のポジショニングが容易になり、効率的なシナプス伝達が可能になると考えられる。

Citation: O. R. Buonarati, E. A. Hammes, J. F. Watson, I. H. Greger, J. W. Hell, Mechanisms of postsynaptic localization of AMPA-type glutamate receptors and their regulation during longterm potentiation. Sci. Signal. 12, eaar6889 (2019).

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