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TGF-βファミリーシグナル伝達の特異性、多能性、および制御

Specificity, versatility, and control of TGF-β family signaling

Reviews

Sci. Signal. 26 Feb 2019:
Vol. 12, Issue 570, eaav5183
DOI: 10.1126/scisignal.aav5183

Rik Derynck* and Erine H. Budi

Department of Cell and Tissue Biology and Eli and Edythe Broad Center of Regeneration Medicine and Stem Cell Research, University of California at San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.

* Corresponding author. Email: rik.derynck@ucsf.edu

要約

哺乳動物細胞では33個の遺伝子にコードされる、分泌型ホモ二量体およびヘテロ二量体タンパク質のトランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)ファミリーは、多細胞真核生物において、全部ではないにしても大部分の細胞系譜の分化と、細胞生理および組織生理のさまざまな側面を制御する。TGF-βファミリーシグナル伝達の制御喪失は、発達異常および疾患をもたらすのに対し、TGF-βシグナル伝達の増強はがんおよび線維症の一因となる。ここでは、細胞表面受容体へのTGF-βリガンドの結合によって開始されるシグナル伝達機構の基礎、およびこのシグナル伝達の、他のシグナル伝達経路からの入力やその経路との協調への依存性について概説する。われわれは、細胞が、膜貫通型で二重特異性をもつキナーゼのヘテロマー受容体複合体の機能的な提示および活性化をいかに精巧に制御し、それによりリガンドに対する文脈依存的応答性を規定するかを議論する。また、Smadと呼ばれるタンパク質がリガンド誘導性遺伝子発現応答の細胞内エフェクターとして作用する機構を紹介し、Smadシグナル伝達の特異性と優れた多能性が他の経路からのクロストークに依存することを示す。最後にわれわれは、異なるリガンド活性化受容体複合体によって開始される非Smadシグナル伝達機構が、いかにSmadシグナル伝達を補完し、それにより細胞応答に寄与するかを議論する。

Citation: R. Derynck, E. H. Budi, Specificity, versatility, and control of TGF-β family signaling. Sci.Signal. 12, eaav5183 (2019).

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2019年2月26日号

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