• ホーム
  • 線維代謝―肺線維症における新たな治療の最先端

線維代謝―肺線維症における新たな治療の最先端

Fibrometabolism-An emerging therapeutic frontier in pulmonary fibrosis

Reviews

Science Signaling 24 Aug 2021:
Vol. 14, Issue 697, eaay1027
DOI: 10.1126/scisignal.aay1027

Brintha Selvarajah1, Ilan Azuelos1, Dimitrios Anastasiou2, Rachel C. Chambers1,*

  1. 1 Centre for Inflammation and Tissue Repair, UCL Respiratory, University College London, London WC1E 6JF, UK.
  2. 2 Cancer Metabolism Laboratory, The Francis Crick Institute, London NW1 1AT, UK.

* Corresponding author. Email: r.chambers@ucl.ac.uk

要約

線維症は、多くのよくある慢性炎症性免疫介在性代謝疾患における病理学的な最終結果であり、罹患と死亡の主要な原因である。線維化疾患の発生率の上昇と広範な研究努力にもかかわらず、生存率を向上させる有効な治療は依然として不足している。オミクス技術の適用によって、これまで知られていなかった治療標的や疾患バイオマーカー候補を同定するわれわれの取り組みには大変革が起きている。とくにメタボロミクスの適用によって、疾患の病理学的機序に関する理解が深まり、線維形成応答の主要なエフェクター細胞である筋線維芽細胞の生物学において代謝が果たす役割に、科学的関心の波が集まっている。新たな研究結果から、代謝の変化は、線維症の発症機序の特徴であるだけでなく、その機序において影響力のある役割を果たす可能性もあることが示唆されており、とくに、すべての線維化疾患の中でもっとも急速に進行する致死的な疾患である、特発性肺線維症(IPF)で注目される。このレビューでは、主要な代謝経路の役割、筋線維芽細胞におけるそれらの変化、そしてこの新たな知識が抗線維化治療戦略の開発にもたらす可能性を詳細に述べる。

Citation: B. Selvarajah, I. Azuelos, D. Anastasiou, R. C. Chambers, Fibrometabolism-An emerging therapeutic frontier in pulmonary fibrosis. Sci. Signal. 14, eaay1027 (2021).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2021年8月24日号

Editor's Choice

がんにおけるCXCL10の良い面

Research Article

TCRとCARのシグナル伝達の比較解析によってCARデザインの抗原感受性とin vivo機能を向上させる

単一細胞解析はMVAワクチンに対するヒト樹状細胞の多様な応答を明らかに

Reviews

線維代謝―肺線維症における新たな治療の最先端

最新のReviews記事

2024年1月9日号

炎症性腸疾患の免疫病態形成におけるNF-κBシグナル伝達系

2024年1月2日号

TAOキナーゼの多面的機能と神経障害におけるそれらの調節不全

2023年5月2日号

炎症に対する機械感覚:自然免疫細胞におけるYAP/TAZの役割

2023年3月14日号

NF-κB複合二量体系モデル:多様な生物学的状況を検討するための知識ベース

2022年11月8日号

腫瘍微小環境における発がん性シグナル伝達経路の代謝産物活性化