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ヒトのホスファターゼ-基質ネットワークを解明する
Elucidating Human Phosphatase-Substrate Networks
Sci. Signal., 14 May 2013
Vol. 6, Issue 275, p. rs10
[DOI: 10.1126/scisignal.2003203]
Xun Li1,2, Matthias Wilmanns3, Janet Thornton2, and Maja Köhn1*
1 Genome Biology Unit, European Molecular Biology Laboratory, Meyerhofstrasse 1, 69117 Heidelberg, Germany.
2 European Molecular Biology Laboratory-European Bioinformatics Institute, Wellcome Trust Genome Campus, Hinxton, Cambridge CB10 1SD, UK.
3 European Molecular Biology Laboratory-Hamburg Outstation c/o DESY, Notkestrasse 85, 22603 Hamburg, Germany.
* Corresponding author. E-mail: koehn@embl.de
要約:ホスファターゼは細胞の構成要素を脱リン酸化することで、細胞プロセスに大きく関わっている。われわれは、これまで確認されていなかったこれらの関連性を明らかにする、すべての活性型ヒトホスファターゼに関する構造情報に基づく分類方法を報告する。タンパク質基質および非タンパク性基質を順に並べ、共局在と共発現のデータを統合することで、ヒトのホスファターゼ-基質ネットワークを作成した。脱リン酸化周辺部位のタンパク質配列を解析したところ、キナーゼとあるサブセットのホスファターゼの両方に共通の認識機構が適用できる可能性が示唆された。プロテインホスファターゼによる三次元の基質認識の解析から、基質内の優先ドメインが明らかになった。われわれは、ホスファターゼ、キナーゼ、およびそれらの共通の基質間の関係を検討し、高度に特異的な基質をもつホスファターゼと、特異性の低い基質をもつホスファターゼを特定した。さらにこの解析を利用して、ホスファターゼの生物学的機能に関する検討可能な仮説がどのように立てられるかを示した。DEPOD(human DEPhOsphorylation Database、第1.0版、http://www.DEPOD.org)は、活性型ヒトホスファターゼ、その基質、およびそれが働く経路に関する情報を示しているオンラインリソースである。このデータベースでは、キナーゼおよびホスファターゼ活性を調節する化学物質にリンクが張られ、他の生物種における類縁タンパク質を同定するための、配列類似性検索機能が付いている。
X. Li, M. Wilmanns, J. Thornton, M. Köhn, Elucidating Human Phosphatase-Substrate Networks. Sci. Signal. 6, rs10 (2013).