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データ非依存性収集質量分析によるインスリンシグナル伝達の標的リン酸化プロテオミクス

Targeted phosphoproteomics of insulin signaling using data-independent acquisition mass spectrometry

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Sci. Signal., 9 June 2015
Vol. 8, Issue 380, p. rs6
DOI: 10.1126/scisignal.aaa3139

Benjamin L. Parker1,2,*, Guang Yang1,2,*, Sean J. Humphrey3, Rima Chaudhuri1,2, Xiuquan Ma1,2, Scott Peterman4, and David E. James1,2,5,†

1 Charles Perkins Centre, School of Molecular Bioscience, University of Sydney, Sydney, New South Wales 2006, Australia.
2 Garvan Institute of Medical Research, Darlinghurst, New South Wales 2010, Australia.
3 Department of Proteomics and Signal Transduction, Max Planck Institute for Biochemistry, Martinsried 82152, Germany.
4 Thermo Fisher Scientific, Cambridge, MA 02139, USA.
5 School of Medicine, University of Sydney, Sydney, New South Wales 2006, Australia.

† Corresponding author. E-mail: david.james@sydney.edu.au

* These authors contributed equally to this work.

要約  シグナル伝達生物学におけるひとつの大きな目標は、経時的または量的データや患者サンプルを含む多くの異なるサンプルを横断してシグナル伝達経路全体にわたるタンパク質リン酸化の変化を高処理量で測定できる手法を確立することである。前駆イオン情報に依存せずに収集したあとに既知のペプチドを標的として検索するタンデムMSスキャンを用いたデータ非依存性収集(DIA)質量分析(MS)法なら、この目標を達成できるかもしれない。われわれは、インスリンに応答して起こるインスリンシグナル伝達ネットワークの構成要素のリン酸化と、このネットワークの主要な下流エフェクターを標的とするキナーゼ阻害薬パネルに曝露された細胞が刺激されたときに起こるリン酸化を体系的に定量化するために、DIA-MSを適用した。安定同位体標準物質(SIS)または無標識定量化(LFQ)のいずれかを用いてインスリンシグナル伝達ネットワーク内の86の標的タンパク質のリン酸化にインスリンが与える影響を正確に定量化し、このネットワークを介するシグナル伝達をマッピングした。阻害薬に曝露された細胞から得られた定量的リン酸化プロテオミクスデータに特異的なリン酸化イベントにキナーゼをマッチングさせる(直鎖状のコンセンサスモチーフと経時的なリン酸化に基づいて)ことによって、われわれはAKTとmTORに予測されるキナーゼと基質の関係を、標的を絞った方法で調べた。さらに、われわれはこの手法を応用することによって、AKT2に依存したGAB2のリン酸化はインスリンシグナル伝達を促進するが、14-3-3結合に依存する形で上皮増殖因子(EGF)シグナル伝達を抑制することを示した。DIA-MSは処理量を高め、複数のサンプルを横断的にペプチド検出の再現性を向上できるため、この手法を用いれば、他のMSプロテオミクス手法を用いた場合よりも、さまざまな実験条件下でシグナル伝達ネットワークをより正確に、包括的に、定量的に評価できるようになるだろう。

B. L. Parker, G. Yang, S. J. Humphrey, R. Chaudhuri, X. Ma, S. Peterman, and D. E. James, Targeted phosphoproteomics of insulin signaling using data-independent acquisition mass spectrometry. Sci. Signal. 8, rs6 (2015).

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