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CRISPRを用いたノックアウトとRNAiを組み合わせた合成スクリーニングによる結節性硬化症複合体の薬物標的候補の同定

Identification of potential drug targets for tuberous sclerosis complex by synthetic screens combining CRISPR-based knockouts with RNAi

Research Resources

Sci. Signal. 08 Sep 2015:
Vol. 8, Issue 393, pp. rs9
DOI: 10.1126/scisignal.aab3729

Benjamin E. Housden,1 * Alexander J. Valvezan,2 Colleen Kelley,1 Richelle Sopko,1 Yanhui Hu,1 Charles Roesel,1 Shuailiang Lin,1 Michael Buckner,1 Rong Tao,1 Bahar Yilmazel,1 Stephanie E. Mohr,1 Brendan D. Manning,2 Norbert Perrimon1, 3 *

1 Department of Genetics, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
2 Department of Genetics and Complex Diseases, Harvard School of Public Health, Boston, MA 02115, USA.
3 Howard Hughes Medical Institute, 77 Avenue Louis Pasteur, Boston, MA 02115, USA.

*Corresponding author. E-mail: bhousden@genetics.med.harvard.edu (B.E.H.); perrimon@receptor.med.harvard.edu (N.P.)

要約 腫瘍抑制因子TSC1とTSC2からなる結節性硬化症複合体(TSC)ファミリーは、mTOR複合体1(mTORC1)を調節する主要な細胞シグナル伝達経路の収束点である進化的に保存されたタンパク質複合体内でともに機能する。TSC複合体の変異や異常な抑制は、さまざまなヒト腫瘍症候群とヒトがんでよくみられる。そのため、この複合体の機能喪失を伴う細胞を選択的に標的にする新規治療戦略の発見は、非悪性TSCを有する患者と孤発性がんを有する患者にとって臨床的に重要な意味をもつ。われわれは、CRISPRを用いて同種変異型のショウジョウバエ(Drosophila)細胞株を作成する手法を開発した。TSC1またはTSC2変異型細胞株に、すべてのキナーゼとホスファターゼに対するRNAiスクリーニングを組み合わせることによって、TSC1およびTSC2との合成的相互作用を同定した。3つの候補遺伝子(ヒトのRNGTTCDK11CCNT1のオルソログであるmRNA-capPitslreCycT)を個別にノックダウンさせると、TSC1またはTSC2を欠損したDrosophila細胞の集団増殖率は低下したが、野生型細胞では低下しなかった。さらに、ヒト腫瘍由来細胞などの哺乳類TSC2欠損細胞株でも、これら3つの遺伝子を個別にノックダウンさせると同様の増殖抑制効果がみられ、この異種スクリーニング戦略による薬物標的候補の同定力を裏付けている。

Citation: B. E. Housden, A. J. Valvezan, C. Kelley, R. Sopko, Y. Hu, C. Roesel, S. Lin, M. Buckner, R. Tao, B. Yilmazel, S. E. Mohr, B. D. Manning, N. Perrimon, Identification of potential drug targets for tuberous sclerosis complex by synthetic screens combining CRISPR-based knockouts with RNAi. Sci. Signal. 8, rs9 (2015).

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