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PP2Aの触媒サブユニットのC末端を認識する抗体はPP2Aの活性とホロ酵素の構成の評価には不向きである

Antibodies recognizing the C terminus of PP2A catalytic subunit are unsuitable for evaluating PP2A activity and holoenzyme composition

Research Resources

Sci. Signal. 28 Jan 2020:
Vol. 13, Issue 616, eaax6490
DOI: 10.1126/scisignal.aax6490

Ingrid E. Frohner, Ingrid Mudrak, Stephanie Kronlachner, Stefan Schüchner, and Egon Ogris*

Center for Medical Biochemistry, Max Perutz Labs, Vienna BioCenter, Medical University of Vienna, Dr. Bohr-Gasse 9, A-1030 Vienna, Austria.

* Corresponding author. Email: egon.ogris@meduniwien.ac.at

要約

プロテインホスファターゼ2A(PP2A)の触媒(C)サブユニットのC末端にあるロイシンのメチルエステル化は、特異的な三量体PP2Aホロ酵素の会合に重要である。また、このCサブユニットのC末端領域にはトレオニンとチロシンのリン酸化部位も2つ含まれる。頻繁に使用される市販のホスファターゼアッセイキットに付属されているモノクローナル抗体1D6など、市販の抗体のほとんどはCサブユニットのC末端を標的としているが、これらの抗体がメチル化型およびリン酸化型PP2Aを認識する能力については、疑念の声があがっている。本稿でわれわれは、モノクローナル抗体1D6、7A6、G-4、52F8、ポリクローナル抗体2038など、複数の抗PP2A C抗体を対象とし、さまざまな修飾型のPP2Aを特異的に検出する能力と、調節サブユニットを共沈殿させる能力について試験した。試験対象の抗体は、非メチル化型PP2Aを優先的に認識し、調節サブユニットBまたはB′を含む三量体ホロ酵素を免疫共沈降させなかったことから、PP2Aホロ酵素の活性をモニタリングする目的での使用を排除する結果となった。さらに、これらの抗体のうちの一部は、ホスファターゼPP4を認識したことから、PP2Aに対する特異性に欠けることが実証された。まとめると、今回の知見は、これらの試薬を用いて生成されたデータについて解釈のやり直しが必要であることを示している。

Citation: I. E. Frohner, I. Mudrak, S. Kronlachner, S. Schüchner, E. Ogris, Antibodies recognizing the C terminus of PP2A catalytic subunit are unsuitable for evaluating PP2A activity and holoenzyme composition. Sci. Signal. 13, eaax6490 (2020).

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2020年1月28日号

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