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定量的遺伝子スクリーニングによりmTORC1経路を調節するRagulator-FLCNフィードバックループが明らかに
Quantitative genetic screening reveals a Ragulator-FLCN feedback loop that regulates the mTORC1 pathway
Sci. Signal. 15 Sep 2020:
Vol. 13, Issue 649, eaba5665
DOI: 10.1126/scisignal.aba5665
Erica De Zan1, Ruud van Stiphout1, Bianca V. Gapp1, Vincent A. Blomen2, Thijn R. Brummelkamp2, and Sebastian M.B. Nijman1,*
- 1 Ludwig Institute for Cancer Research, Target Discovery Institute, Nuffield Department of Medicine, University of Oxford, OX3 7FZ, UK.
- 2 Netherlands Cancer Institute, 1066 CX, Amsterdam, Netherlands.
* Corresponding author. Email: sebastian.nijman@gmail.com
要約
RNAiやCRISPR-Cas9のスクリーニングなど、哺乳類の細胞株における順遺伝学スクリーニングは、多様なシグナル伝達経路の解明に大きく貢献してきた。ここでは、堅牢な比較スクリーニングプラットフォームとしてヒト一倍体細胞を活用し、多様な代謝状態を感知する主要な成長制御経路であるmTORC1シグナル伝達の調節機構を同定するための一連の定量的順遺伝学スクリーニングを報告する。このスクリーニングプラットフォームで選択された化学的および遺伝的障害は、ラパマイシン処理およびRagulatorサブユニットLAMTOR4の遺伝的除去を含み、既知のコアmTORC1調節シグナル伝達複合体およびmTORC1経路とリソソーム機能との密接な相互作用を明らかにし、この手法を確証した。加えて、摂食および飢餓状態でのmTORC1経路の調節におけるLAMTOR4およびLAMTOR5の異なる要求性を同定した。さらに、腫瘍抑制因子であるフォリクリンとLAMTOR4間の、これまで知られていなかった「合成疾患」の相互作用が明らかになった。これは、がん治療に治療上の示唆を与える可能性がある。合わせると、われわれの研究は、複雑な哺乳類のシグナル伝達ネットワークを駆動する調節機構を明らかにする、反復的な「障害と観察」の遺伝子スクリーニングの有用性を示している。
Citation: E. De Zan, R. van Stiphout, B. V. Gapp, V. A. Blomen, T. R. Brummelkamp, S. M. Nijman, Quantitative genetic screening reveals a Ragulator-FLCN feedback loop that regulates the mTORC1 pathway. Sci. Signal. 13, eaba5665 (2020).