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転移におけるインテグリンとEVを結びつける

Linking integrins and EVs in metastasis

Editor's Choice

Sci. Signal. 15 Sep 2020:
Vol. 13, Issue 649, eabe3353
DOI: 10.1126/scisignal.abe3353

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

P. Fuentes, M. Sesé, P. J. Guijarro, M. Emperador, S. Sánchez-Redondo, H. Peinado, S. Hümmer, S. Ramón Y Cajal, ITGB3-mediated uptake of small extracellular vesicles facilitates intercellular communication in breast cancer cells. Nat. Commun. 11, 4261 (2020).
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インテグリンは、細胞外小胞の乳がん細胞への取り込みを仲介する。

要約

小さな細胞外小胞(EV)は、タンパク質やRNA、その他の積荷を細胞間で輸送する。インテグリンは、細胞外マトリックスへの細胞接着と、場合によってはウイルスの細胞への侵入の両方を仲介する。正常な発達と生理学における役割に加えて、EVとインテグリンはいずれも病態生理学、とくに腫瘍のストレス抵抗性と転移性進行に関与する。Fuentesらは、インテグリンβ3がトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞へのEVの取り込みを仲介することを見出し、これらの直接的なつながりを明らかにした。インテグリンβ3は、MDA-MB-231細胞においてEV取り込みとEV誘導性のコロニー増殖に重要であった。EV取り込みは、HSPGと呼ばれる一群の細胞表面糖タンパク質とEVの一過性結合と、それに続く、インテグリン誘導性のキナーゼFAKの活性化を介する速やかなエンドサイトーシスにともに依存した。興味深いことに、インテグリンβ3は、細胞自体のEV産生と内容物も調節した。インテグリンβ3をノックダウンすると、産生されるEVの大きさに変化が生じ、より小さなEVの数が増加する一方で、より大きなEVの数が減少した。受容細胞における取り込みとコロニー形成に影響はなかったが、対照細胞由来のEVとは異なり、インテグリンβ3ノックダウン細胞に由来するEVのタンパク質内容物の変化によって遊走は誘導されなかった。これらの結果から、インテグリンがEVによる細胞間シグナル伝達を仲介する機構が明らかになっており、インテグリンの発現がEVの機能的多様性に影響を及ぼす可能性が示されている。

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2020年9月15日号

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