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マイトジェン活性化プロテインキナーゼのドッキングモチーフと相互作用物質のプロテオームワイドスクリーニング
Proteome-wide screening for mitogen-activated protein kinase docking motifs and interactors
SCIENCE SIGNALING
10 Jan 2023 Vol 16, Issue 767
DOI: 10.1126/scisignal.abm5518
Guangda Shi1, Claire Song1, Jaylissa Torres Robles1, 2, Leonidas Salichos3, Hua Jane Lou1, TuKiet T. Lam3, 4, Mark Gerstein3, Benjamin E. Turk1, *
- 1 Department of Pharmacology, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.
- 2 Department of Chemistry, Yale University, New Haven, CT 06520, USA.
- 3 Department of Molecular Biophysics and Biochemistry, Yale University, New Haven, CT 06510, USA.
- 4 Keck MS and Proteomics Resource, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06510, USA.
* Corresponding author. Email: ben.turk@yale.edu
MAPKのドッキングモチーフを明らかに
進化的に保存されているMAPKであるp38およびJNKは、ストレスに対する細胞応答の一環として種々の基質をリン酸化する。Shiらは、これらの高度な相同性をもつキナーゼによる標的タンパク質の選択的リン酸化を可能にするドッキングモチーフを特定した。著者らは、p38またはJNKの結合に寄与するドッキングモチーフ中のアミノ酸およびその位置を明らかにするため、酵母増殖アッセイを開発して使用した。本アッセイを用い、これまで未知であったp38およびJNKのドッキングモチーフのヒトプロテオームをスクリーニングし、in vitroおよび細胞中で確認されるJNKの複数の標的を明らかにした。この手法によりMAPKの基質が同定され、さらにこの手法は、他のシグナル伝達経路に存在する短鎖の相互作用モチーフの特性解析に使用できると考えられる。 -WW
要約
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の重要な機能は、限られた基質のレパートリーを選択的にリン酸化する能力に依存している。MAPKは、触媒クレフトの外側に、保存されている溝を保有しており、これが基質と制御因子に認められる短鎖配列モチーフに結合する。しかし、これらの「ドッキング」という相互作用は弱く一過性の性質をもつことから、MAPKのインタラクトームおよび関連する配列モチーフの決定には困難が伴う。本稿でわれわれは、MAPKのドッキングに関わる多数の配列を並行して評価するための、酵母をベースとする遺伝子スクリーニングパイプラインを記述する。このプラットフォームを用い、MAPKキナーゼであるMKK6およびMKK7のドッキング部分の配列に基づきコンビナトリアルライブラリを解析し、ストレス活性化MAPKであるJNK1およびp38αとの結合に重要な特徴を明らかにした。12,000の配列からなるヒトプロテオームのライブラリをスクリーニングし、複数のMAPK選択的相互作用物質を明らかにした。そのうちの多くは、これまで確認されていたドッキングモチーフと一致しなかった。p38α/JNK1交換変異体の解析により、選択的結合を媒介する特異的ドッキング溝の残基を同定した。最後にわれわれは、スクリーニングにより同定されたドッキング配列が、in vitroおよび培養細胞における基質動員において機能することを確認した。まとめるとこれらの研究は、MAPKドッキング配列の特徴を明らかにするためのアプローチを確立し、p38およびJNKの下流シグナル伝達に関する将来の研究のためのリソースを提供するものである。