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トランスオミクス解析を用いた骨格筋細胞におけるAkt2調節代謝シグナル伝達経路の光遺伝学的解読

Optogenetic decoding of Akt2-regulated metabolic signaling pathways in skeletal muscle cells using transomics analysis

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SCIENCE SIGNALING
21 Feb 2023 Vol 16, Issue 773
DOI: 10.1126/scisignal.abn0782

Genki Kawamura1, Toshiya Kokaji2, 3, Kentaro Kawata2, 4, Yuka Sekine1, Yutaka Suzuki5, Tomoyoshi Soga6, Yoshibumi Ueda1, Mizuki Endo1, Shinya Kuroda2, *, Takeaki Ozawa1, *

  1. 1 Department of Chemistry, School of Science, University of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 133-0033, Japan.
  2. 2 Department of Biological Sciences, School of Science, University of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan.
  3. 3 Data Science Center, Nara Institute of Science and Technology, 8916-5 Takayama, Ikoma, Nara, Japan.
  4. 4 Isotope Science Center, University of Tokyo, Tokyo 113-0032, Japan.
  5. 5 Department of Computational Biology and Medical Sciences, Graduate School of Frontier Sciences, University of Tokyo, 5-1-5 Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8562, Japan.
  6. 6 Institute for Advanced Biosciences, Keio University, 246-2 Mizukami, Kakuganji, Tsuruoka, Yamagata 997-0052, Japan.

* Corresponding author. Email: skuroda@bs.s.u-tokyo.ac.jp (S.K.); ozawa@chem.s.utokyo.ac.jp (T.O.)

Akt2の特異的な代謝作用

インスリンがその受容体に結合すると、Aktファミリーキナーゼに媒介されるものを含むいくつかのシグナル伝達経路が活性化されることにより、細胞の代謝が変化する。Kawamuraらは、インスリン受容体活性化の下流シグナル伝達経路へのAkt2の特異的寄与を明らかにすることを目指した。著者らは、C2C12骨格筋細胞におけるインスリン刺激の効果を、光遺伝学的に活性化されたAkt2コンストラクトの効果と比較した。これらのデータを用いて、著者らはトランスオミクスネットワークを構築し、Akt2活性が遺伝子発現よりもリン酸化と代謝量に顕著な影響を与えることを示した。さらに、Akt2は解糖とヌクレオチド代謝の開始に必要であり、これらの過程の律速段階の推進に寄与したが、他のAkt2非依存的経路も必要であった。これらの結果は、インスリンによる細胞内代謝の調節におけるAkt2活性の特異的役割を明らかにするものである。-WW

要約

インスリンは、Aktファミリーキナーゼの特定のアイソフォームを活性化することにより、さまざまな細胞内代謝過程を調節する。ここでは、Akt2依存的に調節される代謝経路を解明した。Akt2の光遺伝学的に誘発された急速な活性化によるC2C12骨格筋細胞のリン酸化Akt基質、代謝産物、および転写産物を定量化することにより、トランスオミクスネットワークを構築した。Akt2特異的活性化は、転写調節よりもAkt基質のリン酸化と代謝調節に主に影響することがわかった。トランスオミクスネットワークにより、Akt2がより低鎖解糖経路とヌクレオチド代謝を調節し、Akt2に依存しないシグナル伝達と協調して、解糖の最初の段階、グルコースの取り込み、ピリミジン代謝酵素CADの活性化など、これらの過程の律速段階を促進することが明らかとなった。合わせると、われわれの知見は、Akt2依存的代謝経路調節の機構を明らかにし、糖尿病および代謝障害におけるAkt2を標的とする治療法への道を開く。

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