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コンフォメーションおよび活性化ベースのBRETセンサーはGPCR-Gタンパク質カップリングを差動的に報告する
Conformation- and activation-based BRET sensors differentially report on GPCR-G protein coupling
SCIENCE SIGNALING
18 Jun 2024 Vol 17, Issue 841
DOI: 10.1126/scisignal.adi4747
Shane C. Wright1, 2, 3, †, Charlotte Avet2, †, Supriya A. Gaitonde1, 2, †, ‡, Itziar Muneta-Arrate4, 5, Christian Le Gouill2, Mireille Hogue2, Billy Breton2, Stefania Koutsilieri3, Rebeca Diez Alarcia4, 5, 6, Madeleine Héroux2, Volker M. Lauschke3, 7, 8, Michel Bouvier1, 2, *
- 1 Department of Biochemistry and Molecular Medicine, Université de Montréal, Montréal, QC H3T 1J4, Canada.
- 2 Institute for Research in Immunology and Cancer, Université de Montréal, Montréal, QC H3T 1J4, Canada.
- 3 Department of Physiology and Pharmacology, Karolinska Institutet, 171 65 Stockholm, Sweden.
- 4 Department of Pharmacology, University of the Basque Country UPV/EHU, 48940 Leioa, Bizkaia, Spain.
- 5 Centro de Investigación Biomédica en Red de Salud Mental CIBERSAM, 28029 Madrid, Spain.
- 6 Biocruces Bizkaia Health Research Institute, 48903 Barakaldo, Bizkaia, Spain.
- 7 Dr. Margarete Fischer-Bosch Institute of Clinical Pharmacology, 70376 Stuttgart, Germany.
- 8 University of Tübingen, Tübingen, Germany.
* Corresponding author. Email: michel.bouvier@umontreal.ca
† These authors contributed equally to this work.
‡ Present address: Xenon Pharmaceuticals Inc., 3650 Gilmore Way, Burnaby, BC, V5G 4W8, Canada.
Editor's summary
特定のGタンパク質共役受容体(GPCR)により活性化される特異的なGタンパク質を決定するために、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)をベースとするバイオセンサーが広く使用されている。Wrightらは、バイオセンサーのタイプおよびその他の試験デザインの側面(例えば受容体のタグ付加の有無や、細胞上の特異的なGβおよびGγサブユニットの発現の有無)が、特定のGαサブユニットへのGPCRカップリングに関するアッセイの検出能に影響することを明らかにした。これらの知見により、GPCR機能選択性を正確に決定するためのBRETベースのアッセイ法のデザインを改善できる可能性がある。—Annalisa M. VanHook
要約
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、Gα、GβおよびGγから構成される様々な組み合わせのヘテロ三量体Gタンパク質にカップリングすることで、細胞シグナル伝達プロセスを調節している。生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)をベースとするバイオセンサーは、これまで、GPCRの機能選択性に関するわれわれの理解を前進させてきた。ある種のBRETバイオセンサーは、受容体またはGタンパク質のリガンド誘導性コンフォメーション変化をモニターし、一方でその他のBRETバイオセンサーはGタンパク質活性化部位への下流エフェクターの動員をモニターする。本稿でわれわれは培養細胞を用い、これらコンフォメーションベースおよび活性化ベースのBRETバイオセンサーの検出能を比較し、特異的なGαタンパク質に対する様々なAおよびBクラスのGPCRの共役を評価した。これらのGPCRとして、セロトニン5-HT2Aおよび5-HT7受容体、GLP-1受容体(GLP-1R)ならびにM3ムスカリン性受容体を検討した。その結果、これら2種類のセンサー間の異なるシグナル伝達プロファイルが確認され、バイオセンサーの性質がデータの解釈にどのように影響するかが浮き彫りとなった。さらに、アッセイに使用するGβγサブユニットが、Gαサブタイプに対する受容体の選択性に差動的に影響する可能性が確認され、Gαカップリングの特異性を判定する際に受容体とGβγの組合せが重要であることが強く示された。最後に、受容体へのエピトープタグの付加が、化学量論およびカップリングの選択性に影響し、アーチファクトが生じる可能性が示された。これらの結果は、GPCR-Gタンパク質のカップリングを調べる際には、慎重なセンサーの選択と実験デザインが必要であることを浮き彫りにしている。