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免疫細胞におけるプロテインチロシンホスファターゼ遺伝子の包括的発現プロファイル
Comprehensive Expression Profiles of Genes for Protein Tyrosine Phosphatases in Immune Cells
Sci. Signal., 31 August 2010
Vol. 3, Issue 137, p. rs1
[DOI: 10.1126/scisignal.2000966]
Yutaka Arimura* and Junji Yagi
Microbiology and Immunology, Tokyo Women's Medical University School of Medicine, 8-1 Kawada, Shinjuku, Tokyo 162-8666, Japan.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: arimura@research.twmu.ac.jp
要約:シグナル伝達分子のリン酸化と脱リン酸化は、免疫応答を含む細胞のさまざまな過程において重要な役割を果 たす。これまでのところ、さまざまな免疫細胞におけるプロテインチロシンホスファターゼ(PTP)の包括的発現プロファイルについての記述はない。われわ れは、RIKEN(理化学研究所)によって収集されたRefDIC(Reference Genomics Database of Immune Cells)データベースを用いて、マウスのPTPをコードする遺伝子の発現パターンを調べ、免疫細胞で共通して発現されるPTPをコードする遺伝子 57〜64個(カットオフ値によって左右される)を同定した。系統の異なる細胞には、その他にも特有のPTPをコードする遺伝子が含まれ、それらも合わせ ると計58〜76個の遺伝子となった。非免疫組織由来の細胞と比べて、免疫細胞ではPtprc、Ptpn6、Ptpn22を含む8個のPTPをコードする遺伝子で発現の亢進が認められたが、Ptprd、Tns1を含む11個のPTPをコードする遺伝子の発現はほとんど検出不可能であった。各免疫細胞系統には、発現レベルが免疫細胞の平均と比べて相対的に高い、あるいは低いPTPをコードする遺伝子が2〜18個あった。例えば、B細胞のPtprj、マクロファージのDusp3、樹状細胞のPtpro、マスト細胞のPtprgである。これらのPTPは、各細胞系統で重要な役割を果たしている可能性があり、われわれの解析は将来の機能研究への洞察を与えるものである。
Y. Arimura, J. Yagi, Comprehensive Expression Profiles of Genes for Protein Tyrosine Phosphatases in Immune Cells. Sci. Signal. 3, rs1 (2010).